30年ぶりにネオンが灯った砂漠の名店「ロイズ・モーテル&カフェ」
広大なアメリカを東西2347マイル(3755km)にわたって結ぶ旧国道「ルート66」をこれまで5回往復した経験をもつ筆者が、ルート66の魅力を紹介しながらバーチャル・トリップへご案内。イリノイ州シカゴから西に向かい、ついに最西端のカリフォルニア州に突入しました。モハヴェ砂漠にたたずむ巨大なネオンサインで知られる名所、「ロイズ」を紹介します。
モハヴェ砂漠のオアシスとして長年愛されてきた
カリフォルニア州に入って最初の街、ニードルスで疲れを癒したら再び西へ。数マイルはルート66がインターステート40号線に同化しているが、133番の出口で下りて広大なモハヴェ砂漠のドライブを楽しもう。多くの人がイメージする、地平線まで続くアメリカらしい道路は、じつを言うと3755kmに及ぶルート66のなかでもごく少ない。その希少な区間がニードルスから西のエリアなのだ。
砂漠を横断する途中で立ち寄るべき場所のなかで、もっともフォトジェニックかつ買い物もできるのは、アンボイの「ロイズ・モーテル&カフェ」だろう。
ニードルスと次の大きな街であるバーストーのほぼ中間に位置しており、ルート66が誕生した12年後の1938年にガスステーションとしてオープン。当初は「ロイズ・ガレージ」という名称で後に「ロイズ・ガレージ&カフェ」と変更、現在のカフェ(営業はしていないが)はクルマの部品をストックしておく倉庫だったらしい。
創業者のロイ・クロウルは自動車整備工場やモーテルなど次々に事業を拡大し、最盛期には70人を超える従業員を雇うほどの成功を収めたと伝えられている。しかしルート66が廃線になるとアンボイは、旅のオアシスとしての必要性を失ってしまう。ロイと彼の一族は辛抱強く1978年まで経営を続けるが、時代の流れには逆らいようがなく荒廃の一途をたどっていく。