走行2万キロでまるで新車のようなN360
まるでタイムカプセルから飛び出してきたようなホンダ「N360」を発見しました。なんと、走行距離は奇跡の2万1000kmという個体。これほどのコンディションをキープしている個体はおそらく他にはないでしょう。以前は「ステップバン」に乗っていたというオーナーの築山さんは、33年前にこのクルマを入手しました。
デビュー当初のディテールを持つ初期型モデル
大阪の築港赤レンガ倉庫脇にある広場で開催された「360だョ!全員集合 in OSAKA」会場で発見したのは、まるで新車のようなホンダ「N360」の未再生原型車だ。
ホンダN360は、1967年3月の発売から1970年9月までの3年半の間に2度の大きなモデルチェンジを行い、1968年12月までをI型、1969年1月から12月までをII型、そして1970年1月からをIII型としている。今回紹介する築山さんが所有しているのは、I型の1968年式N360となる。
エンジンはバイクの「CB450」用をベースに開発されており、I型とII型はトランスミッションもバイク同様のドグミッションという特徴を持つ。
ヘッドライトと繋がったフロントグリルが特徴的なフロントフェイスは、「Nッコロ」の愛称で親しまれ、近年発売した「N-BOX」などのデザインモチーフにもなったことでも有名となった。
雨の日に乗るのがもったいない!?
築山さんが所有している1968年式はなんと驚くことにレストアを受けた履歴がなく、新車当時のオリジナルペイント、オリジナルインテリアをキープしており、オドメーターの数値も2万1000kmという驚きの未再生原型車だ。高級乗用車であれば低走行の極上コンディンションが発見されることがあるが、大衆車であるN360でこれほどのコンディションをキープしている個体はおそらく他にはないだろう。文字通り奇跡のような1台なのだ。
以前は「ステップバン」に乗っていたという築山さんは、この車両を今から33年ほど前に入手。当時ですらこれほどの車両は少なかったはずだが、入手以来30年以上、この1968年式を大切に維持し続けてきた。驚きのコンディションにはそんな理由があったのだ。
クラブメンバーの協力でこのクルマを後世に残すのが目標
N360のI型は、サンドブルー、ライトスカーレット、そしてこのアイボリーホワイトの3種類のボディカラーを選ぶことができたそう。アイボリーホワイトのボディは、一部補修部分を除いてオリジナルペイントであるのはもちろん、フェンダーやロッカー部分など傷みやすい箇所にもサビは全く見られない。
インテリアも助手席のドアパネルには新車時のビニールが残る奇跡的な状態で、劣化もほとんど見られない。ステアリングのみタイプS用のウッドステアリングに交換しているそうだが、基本的には新車時の状態そのままだという。
築山さんは「N360 ENJOY CLUB」のメンバーだそうで、
「さすがにクラブの存在がなければこんな状態で維持するのは無理です。仲間に助けてもらってます」
と語る。まさに仲間と維持し続けている歴史的にも非常に価値の高い1台と言っていいだろう。