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スズキ「ジムニー」のコンペティターはフィアット「パンダ クロス 4×4」!? 試乗して分かった現実とは? 買うなら「エブリイワゴン」も候補に【AMWリレーインプレ】

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TEXT: AMW 西山嘉彦(NISHIYAMA Yoshihiko)  PHOTO: AMW 西山嘉彦(NISHIYMA Yoshihiko)/AMW 竹内耕太(TAKEUCHI Kota)

ヒルクライムでは楽しめるのか?

小諸ICを降りてチェリーパークラインに入ると印象は異なってくる。浅間ヒルクライムのステージになったヒルクライムのコースである。

ジムニーは、2WDと4WDを切り替えることができるパートタイム4WDである。通常はフロントエンジン/リアドライブのFR車として使うことができる。よほどの悪路か冬季の雪道の場合には4H(4WD高速)が活躍するのであろうが、通常は2H(2WD)というわけである。

さて、小排気量車でのヒルクライムは、ストレス発散にちょうどよい。アクセルペダルを踏み切って、エンジンをレッドゾーンまで回しながらコーナーを攻める快感は、スーパーカーでは味わえない。しかも、非力ゆえに実際はそれほどスピードが出てもいなかったりする。この点、パンダ クロスも楽しい。しかし、やはり後輪駆動の方がステアフィールが心地よいのはいうまでもない。エンジンフィールでのビハインドを、ヒルクライムで挽回! と言いたいところだけれども、実はひとつ致命的な欠陥──あくまでもワインディングを楽しんで走るという、ジムニーに求めるのは筋違いの部分であるが──を見つけてしまった。
それは左足のフットレストのスペースがほぼないに等しいということである。Gがかかった時に、踏ん張ることができないのである。

その点パンダ クロスは、ボディをロールさせながらのコーナーでもしっかりと左足で身体を支えることができる。そういえば、スペインのワインディングロードで、猛烈な勢いで追いついてきて抜き去っていったルノー「エスパス」を思い出した。私がドライブしていたのはアストンマーティン「ヴィラージュ」。ロケ地を探しながら走っていたとはいえ、それなりの速度である。エスパスのドライバーにしてみたら毎日走り慣れている道を、いつものペースで走っていただけであろう。こうした時、むやみに速度を上げたりはせず、追いついた後続車に抜かせるがままにしている。追いついたクルマは先行車をパスするのが常識なのである。抜かれたからといって腹を立てて煽ってくるドライバーもいない。むしろ、追いつかれたのにモタモタ走っていると、どこでパスしてやろうかとピッタリ背後に張り付かれてしまう。日本なら煽り運転認定間違いなしの車間で、である。

ヨーロッパ──それもイタリアやスペインを走っていて感じるのは、ドライバーたちは自分の速度で走ることを大切にしている──というより固執しているのではないかということだ。だから、パンダ クロスはダートや悪路を走らせるより、舗装されたワインディングを思い切り走らせるほうに重点を置いてセッティングされているように思う。逆にジムニーは、ワインディングよりもダートを走った方が楽しいに違いない。履く靴も踵にアールがついた細身のドライビングシューズではなく、ゴツいトレッキングシューズや作業ブーツのような幅広で厚手のソールだとちょうどよいペダル配置である。スポーツカーのようにワインディングを楽しむものでは、そもそもないのである。

というわけで、あり余るパワーのほんの少ししか使うことができずにフラストレーションの溜まっているスーパーカーオーナーには、パンダ クロスをオススメする。ツインエアのフィーリングもきっと楽しんでもらえるはずだ。

購入前提での妄想は楽しい

しかし、今回の試乗はわが家のご近所買い物用兼たまの山行に使うクルマ選びとう側面も持っている。具体的にはハスラーからの乗り換えということ。ということは、維持費がかからない軽自動車一択。パンダ クロスと比べるのではなく、MTかATかをジャッジするための試乗であることをすっかり忘れていた。

帰路の関越自動車道の渋滞にハマって考えたのは、下山してから帰宅には、やっぱりATがいいよなぁ、ということ。いくらクラッチペダルが軽いとはいえ、登山で疲れた脚では、渋滞が辛いのはこれまでに経験済み。そもそも家人の免許はAT限定だし。って、最適解は最初から出ていたんじゃないか、というツッコミはなしで。クルマ好きなら購入する前の妄想期間がどれくらい至福のひとときか、改めて説明するまでもないでしょう。

そしていま、妄想しているのは、太田さんとの会話でも登場したエブリイワゴン。ジムニーと同じ64馬力、パートタイム4WD、しかも通常の2WDは後輪駆動。家人が求めるリアドアがスライドでもある。エブリイワゴンだと単独登山の際、車中泊にも使えそう。あとはCVTのフィーリングがどうであるか、ちょっと試してみたい気もする。目下の悩みは標準ルーフにするかハイルーフにするかである。

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  • AMW 西山嘉彦(NISHIYAMA Yoshihiko)
  • AMW 西山嘉彦(NISHIYAMA Yoshihiko)
  • AMW編集長。大学卒業後、ドキュメンタリー映像の助監督を経て出版業界へ。某建築雑誌の版元で編集技術をマスターし、クルマ系雑誌編集部のある版元へ移籍。その後、版元を渡り歩きながら興味の赴くままにカメラ雑誌、ガレージ雑誌、グラビア誌のほかにBMWやランボルギーニの専門誌などを立ち上げ、2017年までスーパーカー専門誌の編集長を務める。愛車はBMW E30 M3。日本旅行作家協会会員。兼高かおる賞実行委員。近況は、個人ブログ「ART LIFE mag.」にて。
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