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なつかしの「Auto Roman」といえばアルピナ!「ウルフカウンタック」1号車を日本に持ち込んだ名ショップのいまを紹介

1985年アルピナB9 3.5 クーペ

バブル期に登場した3台を展示

千葉・幕張メッセにて毎年4月に開催される「オートモビルカウンシル(Automobile Council)」は、日本を代表するトレードショー型イベントのひとつです。2024年も数多くのスペシャルショップがブース展開した中、毎回この会場に超レア車を続々と出展することでおなじみとなっている「Auto Roman(オートロマン)」について、紹介します。

1980年代の伝説を継承したスペシャルショップ

日本を代表する自動車コレクターのひとりにして、サーキットでは近代のF1マシンやグループCカーなどを果敢に走らせることでも知られる諸井 猛さんは、本業であるエンジニアリング系工場の社名「M’S VANTEC(エムズバンテック)」のもと、周囲の仲間たちから頼み込まれてクラシックカーの部品製造や、さらにはレストアなども手がけてきた人物。その見識の高さも相まって、国内エンスー界では最上級の賢人とも称されている。

そんな諸井さんが、自動車部門に特化したビジネスとして分社し、特選車両の販売なども行うべく2018年にスタートさせたのが「Auto Roman(オートロマン)」。

その屋号は、1980年代中頃まで東京都内の目黒通り周辺に存在し、あの「角川映画」の複数の作品でスーパーカーや高級車の数々を車両提供するなど、華やかなビジネスを展開していた同名のスペシャルショップから継承したものという。

1970〜1980年代の元祖Auto Romanは、ランボルギーニ「ウルフ カウンタック」第1号車やイオタ仕様の「ミウラ」などを取り扱ういっぽう、日本には正規輸入されていなかったヨーロッパの高性能車や高級車を独自に並行輸入。なかでも有名だったのが、わが国ではあまり知られていなかったBMWアルピナだった。

まだ「ニコル・レーシング・ジャパン」が正規代理店として名乗りを上げる直前の時代に、映画『汚れた英雄』に草刈正雄さん演じた主人公の愛車として、自社で輸入したBMWアルピナ「C1-2.3」を提供したり、当時のカーグラフィック誌に、まるでメーカーが制作したかにも見えるハイセンスな一面広告を出したりするなど、当時のクルマ好きにとってAuto Romanは特別なショップだったのだ。

少年時代の諸井さんも、Auto Romanの屋号とゴージャス感のあるロゴに憧れたひとりだったのだが、長じたのち、あるきっかけで往年のAuto Romanの実質的オーナーだった実業家の家族と知り合い、ブランド名とロゴを継承したいと申し出たところ、その熱意から快諾を得るに至ったという。

往年のAuto Romanが継続していたら取り扱っていたかも?

こうして現代に復活したAuto Romanは、オートモビルカウンシルでも常連。いつも超希少かつ魅力的なスーパーカーやレーシングカー、あるいはクラシックカーを出品するのだが、今回幕張メッセに持ち込まれたのはBMW E24系「6シリーズ」をベースとするスペシャルな2台と、グループA時代の怪物メルセデスだった。

まず、このブースを訪れるギャラリーの注目をもっとも集めていたのは、往年のAuto Romanを象徴するアルピナ。白いボディに矢絣(やがすり)模様のストライプの入ったBMWアルピナ「B9-3.5クーペ」である。1985年式ということで、すでに「ニコル・オートモビルズ」が日本総代理店となってから輸入された、いわゆる「ニコルもの」ながら、やはりアルピナには「Auto Roman」のロゴもよく似合う。そんなエンスー心をくすぐるような想いのもとに出品されたB9-3.5クーペについては、リアウインドウに貼られた小さなステッカーに気づき、写真を撮る観衆もたくさんいたようだ。

また、創成期の「BMW M」が開発したE24系6シリーズの最高性能版「M6」、しかも日本の「アイディング(IDING)」のチューンを施したコンプリート車両も隣に並べられ、こちらも人気を博していた。

そしてもう1台は、グループA時代の最終期にメルセデス・ベンツが送り出したホモロゲートスペシャル「190E 2.5-16エヴォリューションII」である。これまで諸井さんとAuto Romanでは、量産モデルの「190E 2.5-16」をベースとして独自のチューニングとモディファイを施した「エヴォリューション」および「エヴォリューションII」の高度なレプリカ車も製作してきた実績があるものの、今回の出品車は1991~1992年にわずか500台が限定生産されたという、オリジナルのエヴォIIだった。

3台ともに、往年のAuto Romanが継続していたらきっと扱っていたに違いないモデルばかり。現在に復活したAuto Romanの見識を、今いちど実感させてくれるようなブースだったのである。

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