ドレスアップ効果も大きいマフラー
パワー系チューニングの第一歩であり、ドレスアップ効果も大きいマフラー。パイプの太さや材質などが性能に結び付く面はもちろん、デザイン的なカッコよさに惚れて購入する人も少なくありません。そのテールの数やデザインには、どのような違いがあるのでしょうか。
純正は1本出しが主流
大部分がクルマの下に隠れてしまうパーツだけに、見た目の印象を大きく左右するのがテールエンドだ。社外品は迫力ある大口径やチタンの焼け色など個性たっぷりだが、今回はそれ以前の話としてテールの本数に注目してみよう。一部のスポーツカーや高級車は別として、純正は左右いずれかの1本出しが主流だ。
理由は製造コストが安いからといたってシンプル。しかし排気効率を高めてパワーを向上させたいスポーツカーは、必然的に抜けのいい太いパイプ径を採用することになり、結果としてテール部分が太く大きくならざるを得ない。そうなると最低地上高が保安基準を満たさないとまではいわずとも、ロードクリアランスが狭くなり縁石や段差で擦りやすくなってしまう。
そこで性能と使い勝手を両立するため考案したのが、テール部分をふたつに分岐させる2本出しだ。φ100mmのシングル出しがφ50mmのダブル出しでも排気効率は変わらず地上高に余裕が生まれるし、φ75mmのダブル出しなら断面積はさらに拡大しつつ地上高もシングル出しのときより稼げる計算。また、出口は右か左の片側だけと限らず、左右に分かれたマフラーもよく見る。V型や水平対向のようなシリンダーが左右に配置されたエンジンでは、マフラーも分けてキャラクターをアピールするケースもあるようだ。
族車で定番だった竹やりマフラー
そして社外品になればデザインの自由度はさらに高まり、純正の1本出しから2本出しや、2本出しから1本出しに変更、数こそ多くないが左右から3本ずつ出るなんて製品もあり、ユーザーの選択肢は非常に多く存在するといっていい。テール部分のカットも定番なストレートや斜めにしたスラッシュ、下方向へ曲げたドルフィンや斜め上のカチ上げとじつに多種多様。パイプの本数だけじゃなく形状にもこだわれば、より個性たっぷりな1台に仕上げることができる。
当然ながらそのまま公道を走行はできないけど、族車で定番だった竹やりマフラーはインパクト絶大。名前のとおりマフラーが竹やりのように上へ飛び出し、本数はシングル出しもあればダブル出しもあるうえ、ストレートから稲妻を模したデザインまで何でもアリだ。昭和のカスタム文化を象徴するマフラーといっていい。
純正マフラーのデザインも進化
なお近年は純正マフラーのデザインもだいぶ進化している。一例を挙げればレクサス「LFA」のセンター3本出しや、トヨタ「GRカローラ」の左右とセンターからの3本出しなど。もうひとつのトレンドはテール部分がリアバンパーに埋め込まれたマフラーで、フロア下の空気をスムーズに後方へ排出し燃費や高速安定性を高めることが目的だ。
こういったクルマの大半は左右2本出しを採用しているが、実際のマフラーは1本で片側はダミーというケースもある。それどころか出口にしか見えない左右の穴そのものがダミーで、バンパーの下にマフラーが1本だけ隠れるているなんて場合も。
ちなみにダミーのマフラーエンドは一部のEVも採用しているが、必要のないモノをあえて設けるのはデザイン上の理由だろうか。EVが社会に浸透して空力の追求がさらに進むにつれ、マフラーのテール部分で個性を主張したり、高性能の証とする時代は過ぎ去るのかもしれない。