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いまやミニ「1275GT」が300万円オーバーに! かつての不人気車はビミョーなスタイリングと台数の少なさから価格上昇中です

いまやミニ「1275GT」が300万円オーバーに! かつての不人気車はビミョーなスタイリングと台数の少なさから価格上昇中です

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TEXT: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  PHOTO: Bonhams

かつての不人気モデルは、今はレア車に?

先ごろ、ボナムズ社主催の「グッドウッド・メンバーズミーティング・オークション」に出品されたBLMCミニ1275GTは、このモデルとしては最終期に属する1979年に生産され、シャシーナンバーは「XE202-612236A」となる。

この1275GTは、新車時から英国の会社名義で登録・所有されており、現在に至るまで所有権は変わっていない。「アンダーソンズ・カーセールス」社から1979年6月14日付で発行された、車両代金請求書の原本が今もなお保管されている。

その資料を見ると、どうやら新車としてオーダーされた際からオプションとカスタマイズが満載だったようで、ブラックのペイントにビニール製のラグトップ(ソフトタイプのサンルーフ)、バッジバー、ドアやダッシュボードのウッドトリム、そしてウッド仕立てのセンターコンソールなどのモディファイが記されている。また、オリジナルの8トラック式カートリッジプレイヤーが残されているのも、時代を感じさせよう。

イギリスの車検証に相当するMoTは1980年代の後半まで遡り、3万3780マイル(約5万4000km)という現在の走行距離の裏付けとなる数値も記録されている。また、ドキュメントファイルには長年にわたる作業やメインテナンスの請求書も多数含まれており、最近では2020年に発行されたものが多い。

ただしこの整備記録が示す4年前のサービスを受けて以来、近年はほとんど走行していないことから、今後走らせる前には再びメインテナンスを受ける必要があるとのこと。また今回の販売に際しては、オリジナルのハンドブックや期限切れの納税証明ディスク、古いMoT車検証、インボイス、そしてV5C登録証明書などが添付された。

ところでミニ クラブマンおよび1275GTといえば、いかにもミニらしい可愛らしさやクラシカルな個性が失われたと判定されたためか、いわゆる「クラシック・ミニ」が1980年代以降に再び脚光を浴びたのちには、明らかに不人気モデルの烙印を押されていた。

また、クラシック・ミニ全体では1959~2000年に約540万台が生産されたなか、ミニの後継車を目指した「メトロ」に取って代わられるかたちで1980年に生産をカタログから消えるまでに生産されたのは、クラブマン サルーンが27万台以上、エステート版は約20万台、そして1275GTは約11万台に過ぎない。

つまりミニの延命を図る実質的後継車としては、失敗作といわざるを得ないモデルであり、実際ユーズドカー市場および前世紀のクラシックカー市場における価値は、オリジナルボディのミニよりはるかに低いものとされていた。

ところが21世紀に入ったころから、このビミョーな雰囲気のスタイリングにもファンが急増しているうえに、もとより生産台数が少ないこと、あるいは大多数の車両がすでにスクラップや部品取りとなっているせいか、希少価値がグングンと高まったことも相まって、いつの間にやら1275GTの人気も急上昇。

もちろんクラシック・ミニ全体の市場価格高騰も相まって、今回のオークション出品に際しても1万5000~2万英ポンドという強気なエスティメート(推定落札価格)が設定されていた。

そして2024年4月14日に行われた競売では1万5525英ポンド、つまり日本円にして約304万円という落札価格でハンマーが鳴らされることになったのだ。

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  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 1967年生まれ。かつてロールス・ロイス/ベントレー、フェラーリの日本総代理店だったコーンズ&カンパニー・リミテッド(現コーンズ・モーターズ)で営業・広報を務めたのちイタリアに渡る。帰国後は旧ブガッティ社日本事務所、都内のクラシックカー専門店などでの勤務を経て、2001年以降は自動車ライターおよび翻訳者として活動中。また「東京コンクール・デレガンス」「浅間ヒルクライム」などの自動車イベントでも立ち上げの段階から関与したほか、自動車博物館「ワクイミュージアム(埼玉県加須市)」では2008年の開館からキュレーションを担当している。
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