父親から譲ってもらったフェアレディZ
1970年代から1990年代にかけて、気軽にオープンエアが楽しめることから流行したのがセミオープンスタイルの「Tバールーフ」で、国産モデルにも多く設定されました。今や貴重なこのTバールーフを装備した日産「フェアレディZ」に乗るのは熊澤吉満さん(30歳)。父親から譲り受け、街乗りからロングドライブまで楽しんでいます。
いつかZを運転するという夢を叶えた
クラシックカーでモータースポーツを楽しむオーナーが増えており、サーキットを会場としたレースや走行会が各地で盛んに開催されている。千葉県にある袖ヶ浦フォレストレースウェイで2024年3月10日に開催された第44回「東京ベイサイド・クラシック・カップ・シリーズ(以下:TBCC)」は、サーキット走行会「第14回ファミリーサーキットデイ」と併催され、クルマを操ることの楽しさを再確認したイベントとなった。
この日クラス1(パレードラン:定員までの同乗が可能で、ヘルメットなどの装備は不要。ペースカーあり)に参加した熊澤吉満さん(30歳)は、父親から譲ってもらった1994年式の日産「フェアレディZ 300ZX Tバールーフ」(Z32型)でコースインした。
「高校生の頃に父親が運転するフェアレディZの助手席によく乗せてもらっていました。その影響で、いつの日にか自分で運転したいな、と思い夢を見ていましたが、2024年になってようやく叶いました。まだ乗りはじめてから日が浅いのですが、初めてTバールーフを開けてオープンエアドライブを楽しんだときに思わず笑顔になりました。いまのところ、それが愛車との一番思い出深いエピソードです」
そのように話してくれた吉満さんによると、以前はトヨタ「ルーミー」に乗っていたが手放し、いまではフェアレディZで街乗りからロングドライブまで楽しんでいるそうだ。愛息に愛車を譲った父親の義博さん(60歳)にも話を伺ってみた。
「Z32型のフェアレディZを買ったのは20年ぐらい前です。現在の総走行距離は17万km。アルミホイールとマフラー以外はノーマルを維持してきました。年式的には旧車の仲間入りを果たしていますが、今でもまだエンジン、点火系、足まわり、ブレーキ、駆動系、油脂類のメンテナンスがしっかりできています」
30年前のクルマなので、どうしても内装のプラスチック部品の割れ、シートのヤレ、ゴム製パーツの劣化などが発生してくるが、義博さんからバトンを受け取った吉満さんも内外装パーツの問題ともうまく付き合いながら、今後もフェアレディZ生活を楽しんでいくことになるだろう。
Zはサーキット用にモディファイせず、いつまでもこのままで楽しみたい
吉満さんはこのイベントでサーキットデビューを果たしたが、何ゆえにそういった展開になったのか熊澤親子に聞いてみた。まず話してくれたのは父親の義博さん。
「前回のTBCCに息子と一緒に行って、クラシックカーが本気モードで走る走行会を見学したら息子がすっかりハマってしまいました。それで自分も走ってみたいということで、今回はクラス1にエントリーしました」
続いて吉満さん。
「袖ヶ浦フォレストレースウェイを走り、レースも観たくて参加しました。サーキット走行に興味はありますがモータースポーツ用にモディファイはしないで、いつまでもこのままで、自分が住む街を走っていきたいです」
じつは吉満さんがTBCCを楽しむためのマシンを譲ってもらう話が順調に進んでいる、と義博さんがこっそり教えてくれたので、そう遠くない将来にレーシングスーツを纏った吉満さんと、この場所で再び出会うことになるのかもしれない。