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「ランボルギーニBMW」といわれた「M1」がたったの5750万円!? 安い理由はグレーな来歴のせいでした

「ランボルギーニBMW」といわれた「M1」がたったの5750万円!? 安い理由はグレーな来歴のせいでした

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TEXT: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  PHOTO: 2024 Courtesy of RM Sotheby's

たとえ人気のM1でも、やはり来歴は大事?

このほどRMサザビーズ「MONACO 2024」オークションに出品されたBMW M1は、資料によると276台目の市販ロードゴーイングバージョンとして、「ブラウ(Blau:濃紺)」のボディカラーに「シュヴァルツ(Schwarz:黒)」のレザーインテリアを合わせた魅力的なコンビネーションで、1980年10月9日にラインオフ。そして「BMWフランスSA」社を介してスイス国内に新車として納入された。

ただし現在では「ブリラントロート(Brillantrot)」と呼ばれる濃い赤にリペイントされ、新車以来となる黒革のインテリアが組み合わされている。またファクトリーの資料によると、マッチングナンバーのエンジンが残されているとのことである。

このM1は、時期は不明ながら米国に輸出され、現在取り付けられているマイル表示のオドメーターに換装されたと思われる。いったんヨーロッパに戻されたのち、2011年3月にシンガポールに輸出されたとのこと。そして、今回のオークションに出品されるために再びヨーロッパに戻るまでは、長らくシンガポール国内で保有されていたという。

2024年4月、このBMWはオランダのブルゲルフェーンにある高級クラシックカーディーラー「Real Art on Wheels」社によって整備され、今回のオークション出品にあたって添付されたサービス履歴によると、その請求書の総額は6253ユーロであった。

このBMW M1について、RMサザビーズ欧州本社は現オーナーとの協議のうえで、40万ユーロ~50万ユーロというエスティメート(推定落札価格)を設定。グリマルディ・フォーラムで行われた競売では34万2500ユーロ、日本円に換算すれば約5750万円という意外な価格で落札されることになった。

2010年代中盤の最盛期の国際マーケットにおけるM1は、100万ドル(当時のレートでは約1億円)超えも散見され、現在にあっても高級クラシックカーディーラーなどでは6000~8000万円あたりの正札が付けられるのが通例となっている。

実際、今年2月に同じRMサザビーズ欧州本社が開催した「PARIS 2024」オークションでは52万2500ユーロ、日本円に換算すれば約8500万円で落札されたのだが、こちらはすべての来歴が揃っており、走行距離2万1142kmに過ぎないことも判明している。

いっぽう今回オークションに出されたM1は、カタログ掲載時にスピードメーターは作動していなかったため、オドメーターの数値は確認できない状態だった。つまり、来歴に疑念の生じる余地があったことが今回の落札価格に反映されたのは、ほぼ間違いのないところであろう。

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  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 1967年生まれ。かつてロールス・ロイス/ベントレー、フェラーリの日本総代理店だったコーンズ&カンパニー・リミテッド(現コーンズ・モーターズ)で営業・広報を務めたのちイタリアに渡る。帰国後は旧ブガッティ社日本事務所、都内のクラシックカー専門店などでの勤務を経て、2001年以降は自動車ライターおよび翻訳者として活動中。また「東京コンクール・デレガンス」「浅間ヒルクライム」などの自動車イベントでも立ち上げの段階から関与したほか、自動車博物館「ワクイミュージアム(埼玉県加須市)」では2008年の開館からキュレーションを担当している。
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