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「キドニーグリル」なのにBMWじゃない「ブリストル」って…? 航空機メーカーが作った「ル・マン24時間」優勝経験もある高級パーソナルカーでした

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TEXT: 高桑秀典(TAKAKUWA Hidenori)  PHOTO: 高桑秀典(TAKAKUWA Hidenori)

歴代モデルを時系列に公開

ブリストル「400」

まず紹介するのは、1946年にデビューしたブリストル「400」だ。このモデルは当時の社主であったジョージ・S・M・ホワイト卿が陣頭指揮を執った自社開発車ではあったが、BMWから登用した名設計者フリッツ・フィードラーの協力のもと、同社が第二次世界大戦まで生産していたツーリングカーの「326」にごく近い設計のフレームを使用していた。

流麗なボディもBMWの影響が大きく、お馴染みのキドニーグリルも踏襲。のちに2L級屈指の名機として評価されることになるブリストル6気筒エンジンのスペックは、戦前型BMWの傑作として知られる「328」と同じ、1971cc/81psであった。最高速度は148km/hで、この時代の市販サルーンとしては極めて高性能であったことが窺い知れる。

ブリストル「401」

続いて紹介するのは、ブリストル「401」だ。第2世代となる401は、イタリア・ミラノの名門カロッツェリアであるトゥーリング・スーペルレッジェーラが描いた基本形にブリストル独自の航空力学テクノロジーを追加。その軽量アルミボディは、美しさだけでなく、エアロダイナミクスの面でもよく考えられていた。そのCd値は0.36以下で、現代のクルマにも匹敵する数値であった。搭載されたブリストル6気筒エンジンは、400時代から5psアップとなる最高出力86psを誇った。

ブリストル「406」

1958年に発表されたブリストル「406」は、名機プリストル6気筒を搭載する最終モデルにして、ブリストルがより高級志向にシフトする契機となったモデルである。重厚なスタイリングや豪華さを増した装備に対応するため、エンジンの排気量を2.2Lに拡大してドライバビリティを向上。世界で最も早い時期に4輪ディスクブレーキを備えた乗用サルーンのひとつとなるなど、依然としてファン・トゥ・ドライブを追求していた。1961年まで生産され、174台がラインオフしたといわれている。

ブリストル「410」

最後に紹介するのは、ブリストル「410」だ。1967年にデビューした410は、初のクライスラー製V8エンジン搭載車となった「407」から「408」、「409」を経て発展したモデル。ブリストルとしては第4世代にあたる。トランスミッションはクライスラー・トルクフライト3速ATで、408/409時代は左右フェンダーの形状が角ばっていたが、それを刷新。よりブリストルの伝統に沿った空力的なフェアリングスタイルでモダナイズされた。同時に、左右のヘッドライトも後退している。

406から継承されたゴージャスな内外装にスムーズでパワフルなアメリカンV8エンジンを組み合わせていたこの時代のブリストルは、同時期のロールス・ロイス、ベントレー、アストンマーティンなどにも匹敵する超高級車であった。410は「411」とバトンタッチする1969年まで生産されたが、82台しかデリバリーされなかった。

ブリストルという名ブランドが自動車史の中に埋もれないように……との想いで設立されたブリストル研究所は、これからも知られざるイギリスの名車の魅力を掘り下げていく。

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  • 高桑秀典(TAKAKUWA Hidenori)
  • 高桑秀典(TAKAKUWA Hidenori)
  • 本業はフリーランスのライター兼エディター。1998年に買ったアルファ ロメオGT1600ジュニア(通称:水色号)を現在も愛用しており、すでに総走行距離が30万8000kmオーバーとなっている(2022年4月中旬現在)。クラシックカーラリーに水色号で参戦取材することがライフワーク(?)となっており、群馬をホームタウンとして開催されている「スプレンドーレ」では、柴犬を“ワン・コドライバー”、秋田犬を総監督として挑んでいる。全国各地に水色号でお邪魔しているので、これからも走行距離が順調に伸びる予定。
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