シンガーの“再構築”を全面サポート
シンガーのトップ2人によるプレゼンテーションに続いて、コーンズ・モーターズの林 誠吾代表取締役兼CEOのプレゼンテーションも行われた。無類のクルマ好きを自認する林氏は、数年前にたまたまページを開いた自動車専門誌にてシンガーに出逢い、すっかり魅了されてしまったという。それでも、まさか数年後にコーンズ・モーターズがシンガーのビジネスをサポートすることになるとは、予想もつかなかったと語っていた。
1964年に英ロールス・ロイス社の日本総代理店となって以来、今年でコーンズの高級車事業は60周年を迎える。また2022年には「心躍る瞬間“クルマってホント楽しい”」を基本コンセプトとして「CORNES MOMENT」を発足。顧客が愛車とともに参加できる体験型プログラムの数々を企画・運営しているコーンズにとって、「THE MAGARIGAWA CLUB」サーキットに感銘を受けたというシンガー首脳陣から届いた申し出は、まさに「渡りに船」だったようだ。
コーンズ・モーターズではシンガー専任のスタッフを用意し、レストアやアフターサービスにまつわる様々な相談は、すべて専属の担当者が行うとのこと。またシンガー側でも、世界で初めての外国語版として特別に用意した日本語サイトで、さまざまなリクエストを受けつけるという。
その後、シンガーの特設サイトに要望を寄せたユーザーにコーンズからコンタクトし、それぞれのユーザーのニーズに合わせてサポートを行っていくという。現時点ではショールームの展開などは考えていないそうだが、コーンズが各地に所有するラウンジなどが「アトリエ」の役割を果たす可能性もあるだろう。
また今回の発表により、シンガーの既存ユーザーはもちろんのこと、今後日本でシンガーが再構築した911を所有することになるカスタマーも、日本国内における専門的なサービスやメンテナンスの幅広い利用が可能となることも言明された。
くわえて「リイマジンド・バイ・シンガー」のベースとなる911は964シリーズに限られ、原則としてカスタマー側が持ち込む必要があるのだが、そのドナーカーを見つける作業も、日本国内ではコーンズ・モーターズが手伝うことも可能とのことだ。
「ターボスタディ」と「DLSターボ」の2本立て
なお自然吸気エンジン「クラシックスタディ」および「DLS」のレストアサービスはすでに締め切りとなっており、今後はターボチャージャー搭載車「ターボスタディ」および「DLSターボ」サービスの2本立てとなる。
1970〜1980年代の「930」、「911ターボ」を彷彿とさせる内外装に、510psのフラット6ターボエンジンと4WDシステムを組み合わせた「ターボスタディ」の「リイマジン」は、世界限定475台のみ受け付けされるそうで、今回の展示車両のレストア費用は、オプション込みで110万ドル(約1億7200万円)とのこと。税金・諸費用やドナー車両代は別途となるという。
いっぽう、DLSターボは往年のグループ5シルエット・フォーミュラ「935」などをオマージュとした超ワイドボディを採用。ウィリアムズとの共同開発となる空水冷24バルブエンジンにターボチャージャーを組み合わせ、最高出力750psのターボエンジンを搭載する「DLSターボ」のレストア台数は世界限定99台とされる。会場に展示されたDLSターボのレストア費用は、ともに展示された前後カウル「ハイダウンフォース・パッケージ」やレーシングタイヤなどのオプションを含めて310万ドル(約4億8400万円)。こちらも、税金・諸費用やドナー車両代は別途となるとのことである。