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なぜ自動車メーカーが「養蜂」を行うのか? ハチミツ界のロールス・ロイスを目指しているわけではなかった!?

グッドウッド養蜂場には約25万匹のミツバチが飼育される

世界ミツバチの日を祝福

ロールス・ロイスは、5月20日の「世界ミツバチの日」を祝いました。2017年に設立されたグッドウッド養蜂場には、現在25万匹以上のミツバチが住む6つの養蜂箱が設置されています。2024年の創業120周年記念の一環として、養蜂箱には創業当時の主要人物にちなんだ新しい名前が付けられました。そして、イギリス、UAE、南アフリカの既存のロールス・ロイス養蜂場に加え、オマーンとバーレーンにも養蜂場が設置されます。

2017年に設立されたグッドウッド養蜂場

ロールス・ロイス・モーターカーズは毎年5月20日の「世界ミツバチの日」を記念するイベントを実施している。2024年は本社が所在するグッドウッド養蜂場のみならず、世界各地で新たに設立された養蜂場も参加し、国際的に開催された。

グッドウッド養蜂場は、食物作物や野生植物のための重要な花粉媒介者であるミツバチの急激な減少を食い止めるべく、2017年に設立された。この養蜂場には約25万匹のミツバチが飼育され、毎年生産されるハチミツはボランティア養蜂家チームによって丁寧に採取・処理される。このハチミツは、本社を訪問する顧客やVIPにのみ提供されている。

また、2024年の「世界ミツバチの日」を前に、ロールス・ロイスは名誉あるジュニア養蜂家である11歳のポピー・リドルを本社に迎え入れた。2021年に地元新聞で、ポピーの愛する養蜂箱が盗まれたという話が掲載されたことがロールス・ロイスの目に留まった。彼女の窮状を知り、ロールス・ロイスは当時8歳のポピーにグッドウッド養蜂場を見学してもらった。その訪問の際に彼女をジュニア養蜂家というユニークで権威ある役職に任命したのだった。

そして、2017年に最初に設置された6つの養蜂箱は、当時グッドウッドで製造されたロールス・ロイス「ファントム」、「ゴースト」、「ドーン」、「レイス」、「カリナン」、そしてトレードマークの「スピリット・オブ・エクスタシー」の名前が付けられた。それから2024年は創業120周年迎えることから、創業当時の主要人物にちなんで養蜂箱の名前を変更することを決定した。養蜂箱には今後、「チャールズ・ロールズ」、「ヘンリー・ロイス」、「エレノア・ソーントン」などの名が刻まれる。

「世界ミツバチの日」を記念して、ロールス・ロイスのスタッフとチチェスター養蜂協会のメンバーが、近くのマーチCE小学校を訪問した。小学1〜2年生たちと養蜂箱と養蜂用具を見学し、ミツバチが生物多様性の維持において果たす重要な役割について学んだ。

世界中のロールス・ロイス養蜂場の活動

グッドウッド養蜂場の成功に続き、この活動は世界の他の地域でも拡大している。それぞれ各地域の養蜂場を見ていこう。

ドバイ養蜂場

ドバイ養蜂場は、2021年「世界ミツバチの日」にロールス・ロイス・ミドルイースト&アフリカとロールス・ロイス・ドバイによって設立された。グッドウッド養蜂場と同様に6つの養蜂箱を持つが、この地域の高温に耐えられるように特別に設計・製造されている。ミツバチは現地環境に適応した在来のアラビアミツバチから繁殖されている。

ドバイ養蜂場には、6万匹のアラビアミツバチが住んでいるだけでなく、他の花粉媒介者の避難所でもあり、重要な教育拠点でもある。2023年以降、この養蜂場では生物多様性、健全な生態系、食料安全保障を維持するための花粉媒介者の重要性を探るワークショップを開催し、国内の学校や大学の学生にインスピレーションを与えている。

南アフリカ養蜂場

2023年にグルートボス財団との提携によりヨハネスブルグに開設された養蜂場は、中東・アフリカ地域で2番目の取り組みとなる。6つの養蜂箱は、3500ヘクタールの私有自然保護区に設置されたが、この保護区には900以上の植物種、118の鳥類、29の哺乳類、21の両生類が生息している。

2つの養蜂場を追加

「世界ミツバチの日」を前に、ロールス・ロイスは新たにオマーンとバーレーンに2つの養蜂場を追加することを発表した。オマーン地域全体での花粉媒介者保護活動の一環として、標高2000mに位置するアリラ・ジャバル・アフダル・リゾートに4つの新しい養蜂箱を設置する。また、バーレーンの首都・マナーマから20分の距離にあるロイヤルゴルフクラブの緑豊かな敷地内に4つの養蜂箱を設置する。

AMWノミカタ

ラグジュアリーブランドと養蜂の組み合わせは、もはや珍しいものではなくなってきた。ロールス・ロイスのほかにもジャガーやベントレー、ランボルギーニなども養蜂活動を積極的に行っている。ミツバチは受粉媒介者として生息範囲の植物の成長に貢献するだけではなく、ミツバチそのものや養蜂箱、蜜蝋を調べることで、彼らが生息する限られた範囲内で使用されている農薬、重金属、芳香族化合物、ダイオキシンなどの環境汚染物質を調査することができるという。

つまりミツバチは、おいしいハチミツを作るだけでなく環境検査員の役割も果たしている。ロールス・ロイスの素晴らしい点は、この活動をグッドウッドだけにとどまらず世界に展開している点であろう。ロールス・ロイスのハチミツは「ハチミツ界のロールス・ロイス」となりうるのだろうか。

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