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気持ちは日本代表! ニュル24時間レースに2024年も参戦…世界一過酷といわれる理由とタイヤ戦争と呼ばれるわけとは【Key’s note】

ニュルでのレース風景

世界のライバルを相手に戦うトーヨータイヤカラーのトヨタGRスープラGT4

今年も世界一過酷な24時間レースが開催

レーシングドライバーであり自動車評論家でもある木下隆之氏が、いま気になる「key word」から徒然なるままに語る「Key’s note」。今回のキーワードは「2024年もニュルブルクリンク24時間レースに参戦」についてです。世界一過酷とも言われる、ドイツ・ニュルブルクリンクを舞台に開催される24時間レースに、木下さんが参戦します。世界の名だたるスポーツカーと世界のタイヤメーカーが集結。そこへ参戦する木下さんが、気合十分な理由とは一体?

自動車メーカーだけではなくタイヤメーカーの勝負でもある

過酷なレースとして名高いニュルブルクリンク24時間レース(ドイツ)、ゴングが鳴るのは2024年6月1日の午後3時(日本時間午後10時)です。

とにかくニュルブルクリンクのコースは過激です。高低差300mもあり、急激な登りと下りが難攻不落な峰と峰を巡るように繰り返されます。路面は荒れていますから、ジャンプスポットも少なくありません。ほとんどが高速コーナーであるのにもかかわらず、ブラインドコーナーばかり。それでいて、安全を担保するコースオフエリアはほとんどなく、スピンすればすぐにガードレールの餌食になるばかりか、フェンスを越えて林のなかでスクラップになります。

一周25.8km。サーキットの中には3つの村があります。森の中を大蛇がうねるように貫くコースで、伝統のニュルブルクリンク24時間は開催されるのです。

僕は今年もこのレースに挑戦します。マシンはトヨタ「スープラGT4」ですが、現地での実践テストを開始して4年目のトーヨータイヤが、プロクセススリックを提供してくれます。心強いですね。

激戦のSP10クラスには、強豪が集結しています。BMW「M4GT4」はミシュランタイヤを履いて必勝体制です。アストンマーティンは最新の「ヴァンテージGT4」にピレリを履かせました。「メルセデスAMG GT4」もミシュラン。ポルシェ「ケイマンGT4」は、グッドイヤーとミシュラン勢に分かれて優勝を狙います。マシンの勝負でもあり、タイヤ戦争も勃発しているのです。熾烈な戦いになることは必至ですね。

僕はこのレースのために2023年からニュルブルクリンクに居を構え、シリーズ参戦してきました。24時間レースが年間でもっとも華やかなレースではありますが、NLSニュルブルクリンク耐久シリーズが全6戦展開されており、ニュル24時間レースの予選レースと決勝レースを加えて、今年は8戦をニュルブルクリンクで戦います。シリーズ参戦は日本人初の挑戦ですが、これまでのレースでタイヤを鍛えてきた成果を、ニュルブルクリンク24時間で証明するつもりです。

日本車が少ないのは悲しい……

世界一過酷なコースと囁かれていることでも理解できるように、マシンとタイヤにとって過酷なばかりか、ドライバーにとっても命懸けの戦いが続きます。24時間レースですから耐久レースの形態には違いありませんが、ペースを抑えて走るチームはほとんどなく、つねにアクセル全開でのレースが続きます。「24時間スプリントレース」とも言われているほどですから、生き残ることすら困難なのです。

やや残念なのは、日本車が少数なことです。僕が参戦する激戦のSP10クラスは14台、すべてのクラスを集めると総勢130台のマシンが集結するのですが、われわれトーヨータイヤが走らせる170号車と171号車のスープラGT4以外の日本車は2台。AT3(環境燃料)クラスのスープラと、SP4Tクラスのスバル「WRX」だけなのです。

かつてはレクサス「LFA」や「RC F」、日産「GT-R」やトヨタ「86」などが参戦していましたが、撤退してしまいました。寂しいものです。

ただ、それだけに気持ちが充実しています。なかでもわれわれは、日本のトーヨータイヤを履く日本車で戦うわけです。日の丸を背負って戦うことで、気力が漲ってくるのです。

レースは6月1日土曜日午後3時(日本時間午後10時)スタートですので、熱い応援をよろしくお願いしますね。

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