最近目にしなくなったアースベルト
最近目にしなくなった「アースベルト」は、いまや絶滅危惧種とも呼べるアイテム。目的はドアノブに触れた瞬間にバチッとくるのを防ぐためですが、ドレスアップとして付けていたオーナーもいます。その効果について、業界随一のオカルトグッズ評論家が解説します。
知っている人には懐かしい、知らない人には「なんだそれ?」
昭和のカー用品&グッズはいろいろあって、その代表格のひとつがアースベルトだ。知っている人には懐かしい、知らない人にはなんだそれ? な装備で、今一度説明しておくと、ボディの後端、バンパーの下あたりに装着したベルト状のもの。金属の板をゴムでサンドイッチしたような構造をしていた。目的としてはボディに溜まった静電気を逃すとされていて、冬場に起こる、ドアノブに触れた瞬間にバチッとくるのを防ぐためだった。
昭和の時代からすでに効果はあるのか? という論争はあったし、効果に関係なく、ドレスアップとして付けているクルマもあった。ボディから垂れ下がったベルトがドレスアップというのもまさに昭和な感じだが、反射板になっていたりして見せる演出もされていたのは事実だ。さらに派生して、静電気を空中放電するとして、宇宙人と交信できそうなトゲトゲしたアンテナも売られていたのもこれまた昭和だった。
アースベルトに話を戻して、効果が実際のところあったかというと、あるにはあった。ボディに付けられた金属のベルトが地面と触れているというのはボディに溜まった静電気を除去するのに効果的な方法だ。ではなぜ、意味がないという意見があるのかというと、まず装着方法に問題があった。
ボディなどに穴を開けて金属部分に直接触れるように装着しないとダメで、当時のアースベルトはバンパーやボディの「耳」部分に挟み込むように付けているクルマが多く、それだと塗装で絶縁されて効果はなくなるのも当然だった。
廃れた理由は装着後の「フィーリング」
またタイヤも電気を通すカーボンが含まれている(黒い色を付けるため)ため、アースベルトに頼らずとも静電気を抜くことは可能だったので、アースベルトを付けなければダメというわけでもなかったのもあるだろう。ただし、最近のタイヤは電気を通さないシリカを使うようになって、電気を通すことができなくなっているのであしからず。帯電は乗り心地などに影響するため、あえて電気を通すようにした部分を付けているタイヤもあるにはある。
そしてアースベルトが廃れた理由としては、使い勝手というか装着後のフィーリングもあった。地面に擦れているので音はするし、バックすると向きが逆になるので、ここでも騒音が発生。
もちろんボディの下からベルトが垂れ下がっているという形自体が時代に合わないのもあって、なくなってしまった。今でも生産&販売はされているので、興味がある方は付けてみたらいかがだろうか。