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スズキ「ワゴンR」に牛糞由来の燃料で走る仕様があった! バイオメタンガスとガソリンのハイブリッドモデルとは

インド版スズキ ワゴンR バイオメタンガス仕様:ボンベのガスがなくなってもガソリンで走るから航続距離の心配もない

スズキ自動車のバイオガステクノロジー

2024年5月22日〜24日に開催された「人とくるまのテクノロジー展2024 YOKOHAMA」には、国内外の自動車メーカーやサプライヤー、開発支援ツールなどのメーカー、自動車関連スタートアップ企業など90社(1378小間)が出展しました。そんな中から、目利きのベテラン自動車評論家の中村孝仁さんが注目したのは、スズキ・ブースにあった見慣れないクルマでした。はたして、その正体とは?

牛糞を原料にバイオメタンガスを生成

スズキ・ブースに見慣れないクルマがポツンと1台。よく見るとボディには「コンプレスド・バイオメタン・ガス」と書かれている。そしてリアのラゲッジスペースには小さなガスボンベの姿が。このクルマ、バイオメタンガスで走行可能なモデルで、インドでバイオガス事業を推進するスズキが、バイオメタンガスで動くクルマを作り上げたということである。問題はどうやってバイオメタンガスを作るかなのだが、インドで行っている実証実験では、なんと牛糞を原料にバイオメタンガスを生成している。

ご存知の通りインドで牛は聖なる動物。しかも非常に多く飼育されているから糞尿の排出量も半端なものではない。牛糞は発酵すると温室効果の高いメタンを含むバイオガスを発生させる。このメタンを大気放出させないために牛糞を回収して発酵させ、メタンガスを取り出して自動車用の燃料にするというのである。

牛が食べる牧草は光合成により大気中のCO2を吸収するため、牛糞をエネルギーとして活用すればカーボンニュートラルに貢献するのだそうである。しかもガスを取り出した後の牛糞は家畜飼料としても利用が可能だというから、まさに一石二鳥ならぬ一石三鳥の効果を生むというのである。

余談ながら、ぽつんと置かれていたクルマはインドで販売されている「ワゴンR」である。インド本国ではこのボディに天然ガス仕様が販売されているということだ。牛糞を用いたバイオガス仕様はまさにその天然ガス仕様のボンベをバイオガスに置き換えたものなのだという。

それにしてもラゲッジスペースは最後端にスペアタイヤがむき出しで搭載。その奥にボンベが横倒しに搭載されているが、驚いたことにインドではこのままの状態で天然ガス仕様が販売されているのだそうだ。ラゲッジスペースは完全になくなっているが、インドではそれが許されてしまうらしい。日本じゃまず無理である。

性能的にはガソリン車の90%程度のパフォーマンスを持つそうだが、このクルマはフロントにガソリンエンジンを備える、いわゆるハイブリッド。ボンベのガスがなくなってもガソリンで走るから航続距離の心配もない。ちなみに牛糞を使ったバイオメタンはすでに日本でも朝霧高原などで実証実験が行われている。

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