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世界に1台! ブガッティ「シロン スーパースポーツ」に「55 1of1」をオーダーしたのはアラブのカスタマーでした。超絶技巧のフィニッシュとは

ブガッティ シロン スーパースポーツ 55 1of1:タイプ55 スーパースポーツを彷彿とさせるブラックのセンターラインがポイント

1台だけの特別な「55 1of1」

先見性のあるデザイナーでありエンジニアだったジャン・ブガッティによって設計された「タイプ55」をモチーフにした1台だけの「シロン スーパースポーツ」、「55 1of1」が製造されました。エクステリアカラーにはエットーレ・ブガッティが好んだブラックとイエローの組み合わせが採用されています。この特別モデルを見ていきましょう。

シュールメジュールチームが製造

「シュールメジュール」とは聞き馴染みのない言葉だが、オートクチュールやビスポークなどと同じ特別な仕立て、仕様を意味し、ブガッティには顧客からの特別注文を受けるシュールメジュールチームが存在する。今回、アラブ首長国連邦の顧客が歴史的名車「タイプ55 スーパースポーツ」にインスピレーションを受け、そのフィロソフィーが注ぎ込まれた特別な「シロン スーパースポーツ」の「55 1of1」をシュールメジュールチームが製造した。

この「55 1of1」は、オリジナルのエッセンスを注ぎ込むために、ミュルーズ国立自動車博物館が所蔵する「タイプ55 スーパースポーツ」のシャシーナンバー「55237」の個体を借りたという。

また、タイプ55 スーパースポーツはパワフルな「タイプ51」に積まれた2.3L 直列8気筒を採用した。しかし、このモデルを際立たせていたのはエンジンではなく、ジャン・ブガッティがデザインした2シーターのロードスターボディだった。ブガッティ初のスーパースポーツカーとして、タイプ55 スーパースポーツは新しいカテゴリーの基礎を築いただけでなく、現代のすべてのスーパースポーツモデルの青写真となり、グランドツーリングを再定義した。

デュオトーン塗装に注目

タイプ55 スーパースポーツはわずか38台しか製造されず、その希少性はコレクターの垂涎の的としての地位をさらに高めている。ブガッティのシュールメジュールおよびインディビジュアライゼーションのマネージャーであるヤッシャ・ストラウブ氏はタイプ55 スーパースポーツを現代のシロン スーパースポーツのデザインをシームレスに注ぎ込むことで、時代を超越した現代的解釈で表現することに成功した。

この歴史的なクルマのエッセンスを取り入れるにあたり、シュールメジュールチームはデュオトーン塗装に注目し、エットーレ・ブガッティが好んだブラックとイエローの組み合わせを採用した。シロン スーパースポーツはダイナミズムを表現するだけでなく、ハイパーカーの広大なボディを視覚的に分割する役割としても機能する。

色あせない「55」のモチーフ

エクステリアの注目ポイントは、タイプ55 スーパースポーツを彷彿とさせるブラックのセンターラインだ。この視覚的要素は、中央エアインテークを囲むように黒いラインが走るグリルデザインと、車体後部のサイドからフェンダーへと流れるなめらかなイエローのラインによってさらに際立つ。

「55 1of1」は、ヘッドライトの上部とフェンダーの上に、手作業で丹念に施された「55」パターンを配し、馬蹄形グリルを際立たせ、フロントエンドの外観を絞り込むというアプローチを採用。遠くから見ると、「55」パターンがフェンダーをオリジナルと同じように黒く見せている。

細部へのこだわりはエクステリアだけにとどまらず、インテリアの美学にも影響を与えている。なめらかなブラックレザーを採用したキャビンには、「55 1of1」の文字が刺繍されたヘッドレストなどアクセントが施されている。色褪せない「55」のモチーフは、鮮やかなイエローのドアパネルにも巧みに手縫いされている。

AMWノミカタ

ブガッティの顧客に通常のプログラムをはるかに超えたカスタマイズをする「シュールメジュール」。今回はタイプ55からインスピレーションを受けたシロン スーパースポーツが製作されたが、同じようにレーシングドライバー、ルイ・シロンの20世紀の英雄の精神を受け継いだシロン ピュール スポーツ グランプリなども過去に製造されている。顧客からの特別な要望には可能な限り3Dデザインを起こし、徹底的に顧客と話し合いを行うという。

AMWの読者のみなさんには、ブガッティのシュールメジュールのウェブサイトをぜひ訪れてほしい。掲載されている写真は、芸術品を創り出すアトリエの様子を切り抜いた雰囲気だ。「美」の追求はフランス人にとって生きる喜びに等しいのだろう。

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