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なつかしキャッチコピー「未体験ゾーンへ」「街の遊撃手」は何のクルマ? 日本車が熱かったバブル時代は広告も個性的でした【カタログは語る】

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TEXT: 島崎 七生人(SHIMAZAKI Naoto)  PHOTO: 島崎 七生人(SHIMAZAKI Naoto)

街の遊撃手(2代目いすゞ ジェミニ/1985年)

オペル「カデット」などとともにGM「Tカー」の日本版として1974年に登場したのが初代「ジェミニ」。一方で1985年に登場したこの2代目は、FF方式(初代はFR)採用の、まったくのいすゞオリジナルとして開発された。ハッチバックとノッチバックセダンの2タイプのボディを用意。グリーン、ピンクなどポップなボディ色も印象的だった。そして小気味よい走りのイメージを伝えたのが「街の遊撃手」のコピーとともに、アクロバティックな映像にハッとさせられたTV−CMだった。

インテリアイズム(マツダ ペルソナ/1988年)

人気を博したトヨタの「カリーナED」(1985年)の対抗馬としてマツダが作ったのがこの「ペルソナ」(と「ユーノス300」)。雰囲気重視(?)の4ドアハードトップである点はEDと共通だったが、このペルソナでは贅を尽くした室内空間をアピール。手縫いの本革内装を設定し、後席はラウンジのソファのようなラウンドした形状とし、置くだけのアームレストクッションを用意。灰皿はオプション設定というこだわりもみせた。

アートフォースシルビア(日産S13シルビア/1988年)

通算5代目として1988年に登場したS13型「シルビア」。「ART FORCE SILVIA」とコピーそのものは至ってプレーンだったが、とにかくスタイリッシュでしなやかな2ドアクーペのフォルムは、まさしくコピーどおりの仕上がり。プロコル・ハルムの名曲「青い影」を使い、砂浜を走るシルビアを横から追いかけた映像も見入ってしまうものだった。このCM(ともちろんクルマの出来のよさ)のおかげで、当時の宿敵、「プレリュード」を負かす、まさにアートの力を発揮したのだった。

美しい妻と一緒です(日産レパード J.フェリー/1992年)

「シーマ」と共通の4.1LのV8も搭載した「レパード J.フェリー」は、もともと北米市場で「インフィニティJ30」として展開していたモデル。車名こそレパードを踏襲するも、『あぶデカ』で有名な先代のクーペとはまったく別路線のラグジュアリーな4ドアサルーンだった。NDI(カリフォルニアにある日産のデザイン拠点)でまとめられたスタイルも特徴的で、さらにポルトローナ・フラウ社製の本革シートが用意されるなど、極上の上質さにも配慮された。だから、美しい妻と……だったのである。 

幸せづくり研究所(初代オデッセイ/1994年)

最初にコピーだけを単独で読むと「何のこっちゃ?」と思えた。けれどそれが、「アコード」と同じラインでホンダが作った、初の乗用車ベースのミニバンのことなのだとわかると「なるほど」と思わせられる仕掛けだった。アダムスファミリーが3列シートに座るカタログの絵柄もシュールといえばシュールだったが、それほどのインパクトのあったことは確か。子育て世代向けに「こどもといっしょにどこいこう」とやった「ステップワゴン」とは好対照だった。

21世紀に間にあいました(トヨタ初代プリウス/1997年)

トヨタが開発した記念すべき世界初の量産ハイブリッド車。1997年の登場だったから(開発の現場は壮絶なものだっただろうが)余裕で21世紀に間に合った。登場時には確か、広告展開では鉄腕アトムを起用し、過去から見た未来がまさに現実のものとなったことも表現していた。ちなみに最初の車両本体価格は215万円(ナビパッケージは227万円)、10・15モード燃費は28.0km/Lだった。

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  • 島崎 七生人(SHIMAZAKI Naoto)
  • 島崎 七生人(SHIMAZAKI Naoto)
  • 1958年生まれ。大学卒業後、編集制作会社を経てフリーランスに。クルマをメインに、写真、(カー)オーディオなど、趣味と仕事の境目のないスタンスをとりながら今日に。デザイン領域も関心の対象。それと3代目になる柴犬の飼育もライフワーク。AMWでは、幼少の頃から集めて、捨てられずにとっておいたカタログ(=古い家のときに蔵の床が抜けた)をご紹介する「カタログは語る」などを担当。日本ジャーナリスト協会会員、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
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