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なつかしい旧規格の軽カーが90台集合! 四国・川之江の商店街で開催された昭和レトロなイベントを紹介します

参加者の集合場所は、近隣のイオンタウン川之江。そこから会場の栄町商店街へと向かう

日本独自規格の軽カーは、世界に誇る文化です

愛媛県の四国中央市は紙製品出荷額全国1位を誇る「紙の町」として知られています。その市内の川之江駅近くにある栄町商店街では、昭和の懐かしいもので街を埋め尽くすという趣旨のもと、「昭和レトロフェスタ」を年に1度開催。このイベント内では、「U-550旧軽自動車ミーティング」という企画が人気を集め、地域活性化にも貢献しています。すでに12回も開催されているその理由を探ってみました。

古き良き昭和の時代を回顧する

地域活性化を目的とした「昭和レトロフェスタ」は、四国中央市が後援、四国中央商工会議所が協賛となり、川之江栄町商店街振興組合が主催となって開催された。川之江栄町商店街には、たくさんのワークショップやマルシェが並び、メインステージでは、竜王太鼓の演奏会をはじめ、昭和のもの自慢コンテストなどを実施。

川之江栄町商店街の魅力を地元の住民だけではなく、各地から訪れた観光客に触れあってもらうためのイベントなのだ。2023年11月5日に行われた「第12回 U-550旧軽自動車ミーティング」は、「昭和レトロフェスタ」内のひとつの企画として実施。展示場所はイベントメインステージの真横の駐車場で、そこに90台ほどの旧軽自動車規格の参加車両が集合。展示だけではなくスワップミートも開催されたため、1日中来場者が絶えない人気企画だった。

対象車種は排気量550cc以下のみ

このミーティングは、U-550旧軽共同組合が主催。第12回という回数からも想像できるように、この近隣で長く実施されている人気の旧車イベントだ。特徴は、参加車両が排気量550cc以下の軽自動車に限定されていること。現在の軽自動車の排気量は、1990年に制定された660ccという規格で製造されている。そのため、このイベントに参加できるのは、必然的にそれ以前の車両のみとなる。

日本独自の軽自動車という規格は、敗戦後の日本が経済成長を目指す一環として、多くの国民にこれからの新しい生活を手に入れてもらう目的で、実地試験免除で取得可能な軽自動車免許を成立させたのがきっかけだった。

その政策から多少時間はかかったものの、1955年に当時の鈴木自動車工業(現・スズキ)が「スズライトSS」を発売したことで市場を開拓。その後、富士重工業(現・スバル)が「スバル360」を発売したことで、一般大衆にも軽自動車が浸透。1960年代以降の日本のモータリゼーションの改革を担ったわけだ。

古いクルマを持ち続けることもエコ活動の一環

日本全国様々なクラシック系カーイベントは存在するが、旧規格の軽自動車だけを集めるイベントは、それほど多くはない。今回で12回目の開催を迎えることからも、このイベントが、対象車両の愛好家たちにどれだけ支持されているかが理解できる。

なおこのイベントには、排気量やサイズの制限がある中で当時の日本の自動車メーカーが苦心して作り上げたクルマたちの素晴らしさと、これらの古いクルマを大切に乗り続けることで、環境問題を考えるきっかけ作りという主催者の狙いが込められている。大量消費と安易なエコ精神は、本当の意味で環境保全に役立っているのか? そんなことをさりげなく考えさせてくれることも、賛同者が多い理由のひとつなのだろう。

今回集まった車両については、世代によって感想が大きく変わることは間違いない。50歳から上の世代にとっては懐かしさ。40代では、1980年代のクルマとそれ以前の年代のクルマで、感じ方が大きく変わるはず。そして、30代から下の世代にとっては、こんなクルマも存在したの!? という、発見と驚きの気持ちが大半になるだろう。

いずれにしても、「小さくて可愛くてお洒落!」という気持ちだけでは、これらのオーナーとなって、維持し続けることはとても難しい。深い愛情以外にも、人脈や資金という現実問題とともに、所有し続けるという強い意志が何より必要。このイベントに参加したオーナーたちはこの意思のもとに、数あるハードルを乗り越えて、現代に当時の軽自動車の魅力を語り継いでくれているのだ。

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