スプリングのヘタリも計算しながら車高を決める
ドレスアップやチューニングでは定番ともいえるローダウン。車高調整式サスペンションキットの装着やスプリングを交換し、ノーマルよりも車高を落とすのが一般的です。ここで気をつけなければならないのは、車高の落とし過ぎ。定められた最低地上高よりも低いクルマは車検に通らなくなるので注意が必要です。
前輪と後輪のホイールベース内で一番低い箇所で計測
どういう刷り込み効果があったのか、はたまたDNAにインプットされた本能なのか、この世にスポーツカーが誕生したときから、カッコいいスポーツカーは、ロー&ワイド、つまり車体が低くて幅が広いボディと相場が決まっている。その絶対的ともいえる価値観に抗えないため、ローダウンがドレスアップ・カスタムのセオリーになってずいぶん久しい。
しかし、公道を走るためにはルールがあって、できるだけ車高を低くしたいと思っても、保安基準の範囲内でしか車高を落とすことは許されない。その基準は「最低地上高は9cm以上」(普通車・軽自動車)と保安基準第3条で定められている。
この「最低地上高は9cm以上」という数字は、割とよく知られているが、具体的にどこを計測するのか、きちんと把握しているだろうか?
まずその測定条件を確認しておこう。
「道路運送車両保安基準の細目を定める告知 第85条(最低地上高)」によると:
・測定する車を空車状態にする
・車のタイヤの空気圧を規定値にする
・舗装された平面で計測する
この3つが条件とある。
そして最低地上高を計測するポイントだが、前輪と後輪の間、ホイールベース内の一番低い箇所で計測される。
ただし、
・タイヤと連動して上下するブレーキドラムの下端、緩衝装置のうちのロアアーム等の下端
・自由度を有するゴム製の部品
・マッドガード、エアダムスカート、エア・カット・フラップ等であって樹脂製のもの
は、計測ポイントから除外される。つまり、ホイールベース内の固定されたパーツで、樹脂やゴム製以外の部品のもっとも地面に近い箇所が、最低地上高の計測ポイントとなるというわけだ。
具体的には、デフケースやマフラーのタイコ、マフラーや触媒のフランジ、サスペンションメンバー、オイルパンなどがその対象になると思えばいい。
ちなみに車高調整式サスペンションの装着車は、標準の位置(中立)で測定するのが基本。ただし、車高を任意の位置で保持できる車高調が取り付けられている場合は、車高が最低となる位置と車高が最高となる位置の中間を測定することになっているので要注意。
平成18年以降のクルマはフォグランプの高さにも注意
また、新車の初年度登録が平成18年(2006年)以降のクルマは、車高が9cm以上あったとしても、フォグランプのレンズの下側部分が地上から25cm以上ない場合、リアバンパーの反射板のレンズの一番下の部分が地上から35cm以上ない場合、保安基準違反になって、車検に通らない(ウインカーランプ、ブレーキランプ、テールランプの下縁の高さは地上から35cm以上、フォグランプ、リフレクターの下縁の高さは地上から25cm以上)。
パンパーにライト類が埋め込まれているクルマで、平成18年以降の個体は地上からのライトの高さにも気を配ろう。
なお、「計測値は、1cm未満は切り捨てcm単位とする」となっているが、サスペンションのスプリングはへたってくると縮むもの。車高調やローダウンスプリングを入れるときは、そのスプリングのヘタリも見越して、最低地上高9cm+α、できれば10cmぐらいはクリアできるように組むのが良策だ。