アウトバーンは全線速度無制限ではない
ドイツ在住で、モータースポーツの取材を中心にヨーロッパを東奔西走している池ノ内みどりさん。今回はトヨタも参戦するWEC(世界耐久選手権)を取材するべく、ドイツからベルギーのスパ・フランコルシャン・サーキットへ出かけました。しかし、飛び石連休と重なり、あちこちでレジャーへ行くサンデードライバーと遭遇。そのため不安定な走りで、渋滞が発生してしまっている箇所も……。日本とは少々異なる、ドイツの迷惑ドライバー事情を紹介します。
運転に不慣れな人による渋滞は万国共通か
寒かった4月末は雪が降り、5月に入ってゲリラ豪雨が降ったと思ったら、一気に新緑が芽吹いて急に視界が明るくなり、キラキラした気がします。
WEC(世界耐久選手権)の取材のため、久々にベルギーのスパ・フランコルシャン・サーキットへクルマを走らせました。自宅からの道のりは、片道が約640km。ドイツもベルギーも高速道路の料金は無料なので、ガソリン代が非常に高い分、高速代金が掛からないだけでも随分と助かります。
私の自宅のあるミュンヘンからスパへ向かうルートの途中までは、ニュルブルクリンクへと向かう道筋と同じで、ポルシェとメルセデスの街であるシュトゥットゥガルトやホッケンハイムを経由して、西へと向かいます。
マンハイムを抜けて、カイザースラウテルン方面のA6号線はアップダウンや緩やかなカーブが続くうえ、この区間の大半が速度制限解除でめちゃくちゃ楽しいルートなのです! トルクのあるクルマで走ると爽快この上なく、縦Gと横Gをがっつり体感できる良いコース。しかもこのルートはいつも空いているので楽しさ倍増なのです。
日本の方から、いまだに「アウトバーンは全て速度無制限でしょ?」と聞かれることも多いのですが、そんな夢のようなことはなく。速度制限解除区間(速度無制限)は年々減っていますし、年中多くの箇所で工事があり60km/hや80km/h制限区間も多くあります。速度制限がある区間にはオービスが設置してありますので要注意です。
このレースの週末は飛び石連休ということもあり、プチレジャーに行く人々でアウトバーンは大混雑。路肩に停まってボンネットを開けている人、渋滞の玉突き衝突……典型的なノロノロ運転の箇所も多く、ちょっとイライラしてしまいました。日本では「サンデードライバー」ということばがありますが、ドイツでもまったく同じ意味の「ゾンタークスファーラー」というのがあります。この週末、とくにベルギーからドイツへ帰国する道中は、多く遭遇して疲れました。
日本より速い速度で走っているため危険度も高い
速度制限のある区間では、みんながほぼ同じ速度で走っているので問題ないのですが、速度制限解除区間では各車の速度差が大きく、流れに乗らないドライバーは非常にキケン! 追い越し車線へものすごく遅い速度でのっそり入ってくるクルマ、走行車線が空いているにもかかわらず、3車線道路の真ん中をのんびり低速で走り続けるクルマ。アップダウンの激しい区間で明らかにベタ踏みしてもどうにもならない車種なのに頑張って追い越し車線や真ん中車線をブロックし続ける人々……。
工事区間において追い越し車線の制限車幅は2.2mまでと記載されているのに、40tトラックにギリギリに並んだはいいが追い越せない大型SUVやバン……。スムーズで安全な運転を心がけるには、愛車の車幅感覚や性能を知ることもドライバーには大切なのではないかと感じています。
欧州のガソリン価格事情は?
ここ最近はずっと私の家の近所にあるガソリンスタンドのレギュラーガソリン価格は1.90ユーロ前後(約320円)なのですが、ベルギーは安くてビックリ! 1Lあたり1.65ユーロ(約280円)と、25セント(約42円)もお安いではありませんか。まだまだ日本に比べれば高いですが、1.60ユーロ台という価格は、ドイツでは長年見ていない価格で、長距離ドライバーとしてはとても羨ましい限りです。ちなみに、ベルギーの制限速度は120km/hですのでドイツと同じ感覚で乗らないように要注意です。