エンジンはかけないよりは、かけた方がいい
クルマは動かすことを前提に設計がされています。長期間動かさないでいると、機械的に傷んでしまう箇所がいくつかあります。少しでもクルマへのダメージを減らすためのコツをいくつか紹介していきましょう。
30分でも良いから乗るのがポイント
通勤や日常の買い物に活用していればクルマには頻繁に乗るだろう。一方、仕事が忙しかったり、趣味のクルマだったりすると、週に1回も乗れないことは珍しくない。長い間乗らないと心配になってくるのが、クルマの状態。イメージしやすいバッテリー上がり以外にも、エンジンオイルで作られた油膜が切れたりなど、考えるといろいろと弊害が出てきそうだ。
そこでよく言われているのが、乗らない場合は1〜2週間に1度ぐらいエンジンをかけるということ。かけないよりはかけた方がいいのは確かなので、信憑性も高い気がしてくるが、実際のところはどうかというと、1週間に1回にしても、ただかけているだけではダメと言っていい。もちろん、かけないよりはかけた方がいいが。
駐車場に停めてエンジンをかけるだけだと、たしかにオイルや冷却水は内部を回るし、配管内に止まったままのガソリンも流れはする。ただ、クルマの機構というのはそれだけでないのも事実で、たとえば停止したままだとブレーキは動かず、固着する可能性はあるし、タイヤは同じ場所に力がかかり続けるので接地面だけ凹む、いわゆる「フラットスポット」ができてしまう。厳密に言うと、ホイールベアリングでも同じストレスがかかる。
そのほか、大物でいうと、トランスミッション内部はATやCVTならフルードは循環するものの、肝心のギア部分は動かないままだ。サスペンションもしかり。また肝心のバッテリーはシビアで、シンプルな化学反応を利用しているだけに、充電を開始するまで10分から15分程度かかるため、少々止まってアイドリングした程度では完全ではないというのが実際だ。
ベストな方法としては、いきなり走り出すのは避けて、アイドリングを少し長めにしてオイルや冷却水、ガソリンを回す。全体に馴染ませるイメージだ。その後、ゆっくりと動きながらさらに暖機。水温計が動き出したり、警告灯が消えたら、30分ほど普通に走ると最低限の好調維持作業になるだろう。また走ることで、ボディ各部に滞った空気を換気する効果もあって、サビなどを防ぐ効果も期待できる。
バッテリーに関しては、とくに注意が必要だ。最近のクルマはバッテリーを上げてしまうと、セキュリティ面でさまざまな弊害が発生するので、上げないようにするのが鉄則。30分程度走ったぐらいでは満充電にはならないので、走って充電する以外に、ソーラーパネルを使った簡易式でいいので、充電グッズを使って日頃からバックアップするといい。
もっと厳密なことを言うと、毎回エンジンをかけて30分ほど走るのではなく、3カ月から半年毎に高速道路を走って、エンジンを回してやるようにすると調子もよくなる。クルマは走ってこそクルマ。走ることで好調を維持できるというのは頭に入れておいてほしい。