繊細な動きにもしっかり反応してくれる
今回は京都市内の市街地とワインディングロードで試乗した。このアバルト595コンペティツィオーネでは、タイヤはADVAN FLEVA 205/40R17を前後に装着し、ホイールは7JのOZレーシング ウルトラレッジェーラという組み合わせとなっていた。
乗ってすぐに感じるのが、ハンドル操作に対する応答の自然さ。ハンドルをわずかに切った時にサスペンションもわずかに縮む。そのときに動き始めからしっかりとその速さをコントロール(減衰)してくれる。減衰力が素早く立ち上がっているのだ。こういった場面であまり性能の良くないサスだと、ハンドル操作に対して減衰力が反応せず、クルマがわずかに遅れてグイグイと動くことがあるのだ。さすがKW、めちゃくちゃ細かい動きから反応してくれる。
乗り心地自体はどちらかと言えばスポーツ系。純正サスと同等かそれ以上の乗り心地のまま、スポーツ性能が引き上げられている感じ。もともとホイールベースが短く、サスペンションのストローク量も短く、ノーマルの乗り心地がきわめて厳しい車種である。それを大幅に改善してコンフォート仕様とまでには至らないが、スポーツ性能をアップさせつつ、乗り心地はやや良くなっている印象だ。
アバルト595をもっとコンフォート志向に仕上げたい人は、KW V3ではなく、純正形状サスなど他の選択肢を選んだ方がいいだろう。
ワインディングロードを走ると、その気持ちよさは一層高まる。しっかりとタイヤが路面を掴んでいる感覚が高まる。減衰力調整をしてその反応を見たくなるところだが、フロントの下側の調整とリアの調整は、どちらもタイヤを外さないとできないのが少し残念なところではある。
75-PERFORMANCEブレースバーの恩恵も大きい
また、このアバルト595には橋本コーポレーションのオリジナルブランド、「75-PERFORMANCE」のブレースバーが装着されていて、フロアトンネルをつないでいる。これが効果を発揮しているようで、ハンドルの切り始めからしっかりとボディが反応してくれる。小さなボディだが意外とびっくりするほど剛性アップの恩恵があるようだ。
マフラーは「tubi style」を装着。イタリア製の高性能マフラーで、音量はノーマルプラスアルファ程度でそこまで大きくない。高回転まで回したときにエンジン回転が落ちていくときの音が気持ちよくチューニングされていて、思わずエンジンを回してからエンジンブレーキを使いたくなる。
サスペンションとマフラー、ブレースバーだけで仕上げられたアバルト595だが、十分にその楽しさは引き出されている。サーキットとなるともっと攻め込みたい部分もあるが、街乗り+ワインディングがメインであれば、スポーティな乗り味とハンドリングを楽しめるはずだ。
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