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映画『バグダッド・カフェ』の「聖地」は現在復旧中! ルート66ファンならぜひとも観るべき名作です【ルート66旅_54】

映画『バグダッド・カフェ』の「聖地」は現在復旧中! ルート66ファンならぜひとも観るべき名作です【ルート66旅_54】

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TEXT: 佐藤 圭(SATO Kei)  PHOTO: 佐藤 圭(SATO Kei)

  • 広大なモハヴェ砂漠のなかにポツンと佇む、映画で見慣れたバグダッド・カフェ。目の前を走る荒れた舗装の道がまさしくルート66だ
  • 年季の入った看板がいい味を出している。年中無休で営業時間は7~19時。ただしウェブサイトによるとオープンは9時に変更した模様
  • メニューは典型的なアメリカン・フード。写真は普通のチーズバーガーだけど、看板メニューのバッファロー・バーガーも美味しかった
  • 日本からの来客が貼っていったであろう、宮崎県は川南町の地図。店内のゲストブックにも日本人のメッセージがたくさん書いてあった
  • 初めて訪れたときのレンタカーはマスタングのコンバーチブル。サンタモニカからシカゴまで、ルート66の旅をともに過ごした相棒だ
  • これは初めて訪れた2011年。3.3エーカーなので換算すると約4000坪とかなりの広さだ。誰かしら買い手は見つかるのだろうか?
  • こちらは2013年。まだ「FOR SALE」のまま建物はさらに荒廃が進んでいた。現在は更地になっているが、いつ取り壊されたのだろう
  • バグダッド・カフェはロサンゼルスから約2時間。少しだけルート66を走る日帰りのショート・トリップを楽しむのにも最適だろう
  • 店内も映画の雰囲気そのまま。サイドワインダー・カフェとして建設されたのは1950年ごろ、現在の名前になったのは1992年からだ
  • ルート66のロードサイド・アトラクションにも指定。説明文によると名前が変わったのは1995年。公式サイトとどっちが正しい?
  • 昔はネオンが灯っていたであろうモーテルの看板。Googleマップには「オールド・ヘニング・モーテル・サイン」と掲載されている
  • うち捨てられたエアストリーム。外装がアルミだけに錆もなくコンディションはいいようだ。劇中に登場した車両と同じだろうか?

1987年公開の世界的ヒット映画『バグダッド・カフェ』のロケ地へ

広大なアメリカを東西2347マイル(3755km)にわたって結ぶ旧国道「ルート66」をこれまで5回往復した経験をもつ筆者が、ルート66の魅力を紹介しながらバーチャル・トリップへご案内。イリノイ州シカゴから西に向かい、ついに最西端のカリフォルニア州に突入しました。モハヴェ砂漠にも見どころが多い中から、今回は名作映画『バグダッド・カフェ』の「聖地」すなわちロケ地を訪れます。

モハヴェ砂漠の乾いた空気感と個性的な人々が織りなす静かなドラマ

旅はジョシュア・ツリー国立公園から再びマザー・ロード、ナショナル・トレイルズ・ハイウェイと呼ばれるルート66へ戻る。前々回に紹介したロイズ・モーテル&カフェから、西へ1時間ほどクルマを走らせたあたりが次の目的地だ。

1987年に西ドイツで製作され日本では少し遅い1989年の公開となった、パーシー・アドロン監督による映画『バグダッド・カフェ』のロケ地。モハヴェ砂漠にあるガスステーションとモーテルを併設する寂れたカフェを舞台に、地元の人々とドイツからやってきた旅行者による日々のできごとを描いた作品で、世界中で高く評価され、ルート66ファンならぜひとも観るべき1本といっていい。

主人公や女主人をはじめとする個性あふれるキャラクターたち、アメリカ西部の気候や風土が画面の節々から感じられる空気感、ジェヴェッタ・スティールが歌う主題曲『コーリング・ユー』など、派手な演出やストーリーとは無縁だけど不思議と心に沁み込んでくる。

そんなロケ地で旅人を待っているのは、作品と同名の「バグダッド・カフェ」だ。以前は「サイドワインダー・カフェ」という名前だったけど、映画のヒットを受け1992年に変更したとのこと。なおバグダッドとは地名で、ロイズ・モーテル&カフェのあるアンボイからすぐ西に位置しており、バグダッド・カフェはニューベリー・スプリングスという今までも何度か出てきた非法人地域にある。映画のタイトルとして「ニューベリー・スプリングス・カフェ」は、いささか長すぎて語呂のいいバグダッドが使用されたのだろうか。

劇中そのもののカフェでハンバーガーを味わう

私が初めて訪れたのは2011年の3月、西から東へ向かう旅の途中だった。太陽が照りつけるモハヴェ砂漠をオープンカーでのんびりドライブし、ちょうど小腹が空いたころに映画で何度も見た建物が目に留まる。扉を開けた瞬間に耳へ飛び込んでくるBGMはコーリング・ユー、そして地元の常連客と思われる人たちから一斉に向けられる視線。もう完全に映画のなかへ入り込んだ気分になれる。

もっとも無愛想な女主人はおらずフレンドリーなスタッフに笑顔で席へ案内してもらい、メニューから表の壁にも書いてあったバッファロー・バーガーをオーダー。店内を見渡していると奥の席に座っていた初老の男性と目が合う。お約束の「どこから来た?」から会話が始まり、そこに他の客やスタッフも加わって盛り上がる。

映画のロケ地だけに外国人の観光客なんて見慣れているだろう、と思ったらひとり旅は少ないようで次々に質問を浴びせられた。映画のファンであることを伝え、食後は裏庭などを撮影させてもらうことに。

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