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「ミラノデザインウィーク」に登場したクルマたちを一挙公開! 一番人気の会場はズバリ「ポルシェ」でした【ユーコ伊太利通信】

ポルシェ:中庭に911L クーペが展示されていた

街中を歩くだけで感動を運んでくれる6日間

「ミラノデザインウィーク」は、1961年からはじまった世界最大級の家具の見本市「ミラノサローネ国際家具見本市」とミラノ全域が作品の発表の場と化する「フォーリサローネ」によって構成されます。出展社や出展者が自らロケーション探しからはじまるフォーリサローネは、イタリアの美しい建築や景観と共に作品が楽しめる空間となっているのです。

フォーリサローネはロケーションが第一

2024年4月16日〜21日にイタリア・ミラノで「ミラノデザインウィーク2024」が開催された。フォーリサローネは出展社や出展者が自らロケーション探しからはじまるため、想像力・創造力がより問われる。ブランドのイメージをどう表現するか、まさに力の発揮どころとなるのだ。

「こんな古びた汚れた場所がこんなにオシャレに変わってしまった、こんな場所に素敵な隠れ家があったなんて!」

と会場では新しい発見に次々と遭遇する。また、いつもは入れないお屋敷を催事中にレンタルし、一般公開するところもある。ロケーションが第一で、出展社は必死に最高の場所を獲得するため奔走するのだ。そんなわけで、どこもこの期間中のレンタル料は恐ろしい値段に跳ね上がる。もちろん、周辺のホテルも通常の何倍もの価格になっている。

円安のなか、かなりの覚悟でミラノに来た日本人の方々。大出費になるかもしれないが、クリエーターにとっては行く価値はあるのではないか、と思う。なにしろ街中を歩くだけで感動を運んでくれる6日間なのだ。

デザインの世界とクルマは切っても切れない関係

今回は、デザインに敏感な人たちが集まるミラノデザインウィーク2024のフォーリサローネに出展したクルマにフィーチャーする。今やデザインの世界とクルマは切っても切れない関係だ。

アウディは高級ホテルの中庭でQ6 e-tronを公開

まずはアウディから。アウディはデザインリテラシーが高く、以前からデザインの街であるミラノに注目し、ミラノを舞台にさまざまなイベントを行っている。今回アウディが選んだロケーションは、ミラノの高級ショッピング街の中にあるポートレート・ミラノホテルの中庭。16世紀に建てられた歴史を感じさせる重厚感のある建物を背景にして「Q6 e-tron」を初めて一般公開した。アウディ次世代型のブランドストアとなる「House of Progress」を会場で再現。電気自動車を推奨するアウディのこれからの展開が楽しみだ。

ミラノとジュニア(ユニオール)がミックスしたアルファ ロメオ

私がミラノデザインウィークでどうしても見たかったのは、アルファ ロメオ「ジュニア(ユニオール)」だ。4月11日に発表会が開かれたばかりで、そのときの車名は「ミラノ」。しかしその名前がイタリア政府の意向を尊重し、数日後に「ジュニア(ユニオール)」に変更と世間を騒がせた。そんな話題のクルマがモンテナポレオーネ通りと交差するヴェーリ通りにあるブティック、ラルスミアーニのウインドウに展示された。

フロントにはすでに「ジュニア(ユニオール)」とプレートが。しかし、サイドのエンブレムには「ミラノ」と文字が! 多分、時間がなかったのだろう。「ミラノ」と「ジュニア(ユニオール)」がミックスしたアルファ ロメオが見られるのは、おそらくこの日だけだろう。しかし、イタリアではこのクルマの評価は賛否両論。販売後の結果が待ち遠しい。

その近くにBMWの会場があったが、イベント「FUTURE OF JOY」の準備中だったので外側から覗いただけ。「ノイエ・クラッセ」が見られず残念。

不思議な形をしたチョコレート色のランチア シビロ

そして場所を移して、コラード・ロプレスト コレクションのランチア「シビロ」を見に行った。このクルマは1978年に発表された、ベルトーネのマルチェッロ・ガンディーニによる作品だ。イタリアを代表する巨匠は、惜しくも2024年3月にこの世から旅立ってしまった。不思議な形をしたチョコレート色の「シビロ」は、内装も桁外れの発想。1970年代、当時のデザイナーたちは現在のような規制の中でのクルマ作りではなく、自由な発想で人々に驚きと感動を与えるクルマを生み出していた。

実用性と流麗なデザインが加味されたイタルデザイン

実用性と流麗なデザインが加味されたデザインとなると、やはり向かうところはイタルデザインのブース。ここには1973年に発表された、ジョルジェット・ジウジアーロが製作を手がけたスペードのエースを意味するアウディ「カルマン・アッソ・デ・ピッケ」が置かれ、その横に誕生50周年記念の「アッソ・ディ・ピッケ・イン・モヴィメント」が並んでいた。

実用性と流麗なデザインが加味された、1970年代のカルマン・アッソ・デ・ピッケの世界観は素晴らしい。1938年生まれの偉大な2人のイタリア人カーデザイナーによる作品が会場で見ることができ、幸運だった。

日本メーカーもフォーリサローネに参加

ポルシェのコンセプトを体感

今回大人気だったのはポルシェのイベントで、展示会場の前には長い行列ができ、1時間ほど並んだ。会場に入ると目の前に巨大なネットが張られていて、ネットの上でくつろいでみよう、という体験型の企画だった。日常生活の中にゆったりとした時間を持ち、時には空を見ながら人生を考えよう、というのがポルシェのプロジェクト「The Art Dream」のコンセプトである「The Art of Dream」。中庭にはポルシェ「911L クーペ」が展示されていた。今回のポルシェイメージ戦略は大成功し、数々のメディアでランキング入りしている。

ランチアはカッシーナとコラボした限定車を発表

そして、やっぱりランチア! 2023年はフォーリサローネ期間中にカッシーナの店舗前でコンセプトカー、「Pu+Ra HPE」が発表されたが、2024年は市販車の「イプシロン」が高級家具ブランド「カッシーナ」とがコラボした限定車「イプシロン リミテッドエディション カッシーナ」を発表した。1906台限定生産となるが、すでに予想以上の予約が入っているという。これからのランチアの展開が楽しみだ。

レクサスは次世代モビリティの未来を表現

何年も前からミラノデザインウィークで発表しているレクサス。今年はトルトーナ地区の中心であるスーパースタジオ・ピューを会場にしていた。インスタレーションのタイトルは「Time」。時間をテーマに、次世代モビリティの未来を表現した。会場内は招待客のみの時間帯だったので入れず、外のアートガーデンでレクサスのマーヤン・ファン・オーベル氏作「8分20秒」を見学。レクサスが毎年ミラノデザインウィークに出展し続けることは日本人として嬉しく思う。日本のデザインリテラシーが向上することに期待したい。

イタリアで人気のクプラ

日本にはまだ輸入されていないが、イタリアで人気のクプラ(スペインのセアトから2018年に派生したスポーティな自動車ブランド)。ミラノ中央の若者が集まる地区に斬新なインテリアで存在感のあるクプラのショップがある。とくに若い層に人気があるブランドだ。今回はショップ前の広場に「DarkRebel」を展示した。シンプルな展示だが、ロケーションは最高。多くの人が立ち止まって見入っていた。

イタリアらしいカラーリングのガレージ・イタリア

そして、スフォルチェスコ城の中庭を歩いていたときにイタリアらしい鮮やかな白と赤のカラーリングのフィアット「500」を発見。聞くとガレージ・イタリアがデザインしたカラーリングという。屋内にはガレージ・イタリアにより製作された、オープンカーの「500 スピアッジーナ」の姿も! ガレージ・イタリアは、現在クライアントのイベント広告用のカラーリングを提供している。各ブランドをどのように表現していくか興味津々。

2025年も追いかけます

たまたま見つけた電気自動車のマイクロカー、「ミクロリーノ」が売り出し中だった。運転席が開閉する昔のBMW「イセッタ」を思い出す。このクルマが実際にミラノの街をミラノデザインウィークの場で走っている光景を見てみたい。

ほかにも2023年に上海で発表された中国のスーパーカー、VOYAH「i-Cozy」がミラノに上陸し、ドゥリーニ通りに展示されていた。中国もクルマに本腰を入れてきたことが窺える。これから(もうすでに?)自動車業界の景色がどんどん変わりそうだ。

また、ブガッティの家具「ブガッティ ホーム」の展示会場で見かけたブガッティ「ミストラル」は、豪華な場所に相応しい品格があった。

時間の関係上すべては回れなかったが、ランボルギーニ、ホンダ、スズキ、ヒョンデetc……とたくさんの自動車/バイクメーカーが登場した。今や、すべての境界線が消えつつある世の中。ここミラノデザインウィークの場で独自の世界観を展開し、人々に感動を与える自動車メーカーが増えることを願っている。2025年も追いかけます。

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