静岡ホビーショーに今回も魅力的なアイテムが多数出品
「第62回静岡ホビーショー」が2024年5月8日から12日までツインメッセ静岡(静岡県静岡市)で開催されました。会場ではどのブースでも、クルマ好きには見逃せない魅力的な商品を展示していました。なかでも注目したいのが京商です。今回はビッグスケールモデルをメインに紹介していきます。
60周年を全面に押し出したブースにも注目
軽トラからスーパーカーまで幅広い車種を展開しているホビーメーカーの京商は、2023年10月10日に創業60周年を迎えている。「あそびにマジメ。」を社是に、これまでも多くのファンを魅了してきた。
静岡ホビーショーの会場でさっそくツインメッセ静岡の南館に向かうと、ドンとした構えの赤いブースがひときわ目立つ。 60周年ということもあり、入口には「K」の文字が入ったレッドカーペットに「KYOSHO」の横看板が2つ。そして、今回の目玉になる商品が、ボックス型オブジェとしてセンターに配置されている。
はやる気持ちを抑え、いきなり商品を見る前にまずはブースの外周をグルっと歩くと、ミニカー展示の裏側の壁には、ファンに向けての「ありがとう」を世界中の言葉で描いた「60th」の文字が現れる。その隣には、まるでホンモノと思わせるようなフェラーリ「F40コンペティツィオーネ」が鎮座する。よく見れば間もなく発売される1/12スケールモデルを撮影したもの。飾るだけではなく、写真を撮って楽しむという意味も込められているのだった。
1/12スケール ランボルギーニ ミウラSVR
さっそくミニカーのブースへ訪れると、まず目を引いたのが京商オリジナル 1/12スケールのビッグスケールモデル ランボルギーニ「ミウラSVR」。同製品は、2023年に14年ぶりに復活し話題となった。今回は第60回全日本模型ホビーショー(2022年)に参考出品した未塗装モデルの反響がよかったため、製品化に至ったという。 京商ミニチュアカーグループ岡部さんは次のように語る。
「未塗装のままでは錆びてしまうので、こちらでポリッシュ仕上げをしてからクリアコートをかけています。ホイールや内装こそ彩色をしていますが、ボディはダイキャストモデルならではの金属の重厚感あふれる見た目や細部に注目をしていただければと思います」
塗装をしないことでボディの造形がより美しく感じられるミウラSVRにうっとりするが、市販版については量産ができないため数に限りがあるとのことで、思いは高まる。欲しい! と思った方は予約の準備をしたほうがいいだろう。価格は13万2000円(消費税込)。
1/12スケール ランボルギーニ カウンタックLP400
続いて同じ1/12スケールでありながら、スイングアップドアにスーパーカーライトがカッコいいランボルギーニ「カウンタックLP400」。今回はディテールアップをした再生産モデルで、こちらは参考出品で納期などは未定となっている。
ディテールを細かく見ていくと、エクステリアはフロントフード、ヘッドライト、ドア、エンジンフード、トランクに開閉式を採用。フロントフードの下にはスペアタイヤと、その内側に工具が収まる。また、4本出しのマフラーにはANSAシールが装着されているほか、フロントフォグランプにもCARELLO(キャレロ)のステッカーが貼られている。
インテリアに目を移すと、8連メーターがずらりと並び、数字などがはっきりと記載されている。ハザードやウインカーを点灯した際に発光するダッシュボード左下にならぶカラフルなインジケーターにはうっすら文字も再現されている。さらに、灰皿やウインドウレギュレーター、天井のペリスコープといった部分やスポーティな形状のシートは、デザインや厚みにも注目をしたい。今後の製品化に期待が膨らむ。
1/12スケール フェラーリ F40コンペティツィオーネ
もう1台、大迫力のビッグスケールモデル1/12スケールがフェラーリ「F40コンペティツィオーネ」だ。2023年の全日本模型ホビーショーでも展示されていたが、諸般の事情により販売が遅れてしまったおり、ついに2024年6月に発売となる。
久々の再生産ということもあり、フロントリップスポイラーがカーボンパターンに変更、助手席側の給油口のロゴ追加、オイルフィルターをブルーに変更するなどディテールアップがなされている。また、フロントカウルは脱着式、ドア、リアカウルは開閉し、軽量化のためにガラスから変更されたアクリル製サイドウインドウは可動式となっているなど、見どころ満載だ。
1/18スケール 日産キューブ
続いて紹介したいのが、「samurai」シリーズからリリースされる日産「キューブ」。同シリーズは、旧車から現行車まで幅広い国産車のみを取り扱うブランドで、美しい仕上がりと表現力の高さを実現している。
モデル化されたのは、2代目キューブの中期型でライトグリーン、
1/18スケールではこれまでどこのメーカーもモデル化していないキューブだが、細部までこだわりに満ちたディテールに注目をしたい。 左右非対称のデザインやカドを丸めた四角いボディフォルムは、1/18スケールでも愛着を持てるスタイリングになっている。
フロントグリルの形状や若干奥まったスモールランプとウインカーなども実車さながらに再現。ワイパーやサイドウインカーはもちろんだが、ルーフにはアンテナも装着されている。インテリアもシート表皮、ダッシュボードの形状、メーター、天井のルームライトなど、開閉機構こそ持たないが覗き込む楽しさを持ち合わせる仕上がりになっていた。 見れば見るほど惹きつけられるキューブは2024年6月頃発売予定で、価格は2万2000円(消費税込)。
1/43スケールにも注目!
続いて気になったのが京商1:43レジンモデルシリーズの2台だ。1台は、トヨタ「GRカローラ モリゾウエディション」。「ヤリス」ばかり注目されがちなGRシリーズだが、大衆車をベースにトヨタが真剣にイジり、ハイパフォーマンス化した2シーターの限定車が「モリゾウエディション」だ。開閉機構は持ちあわせないが、内外装のディテールにこだわりモデル化されている。
そして、1970年代のスーパーカーブーマーには懐かしい童夢「零」が登場。実車はレーシングコンストラクターの童夢が市販化を目指して開発、国産エンジンに日産の2.8L 直列6気筒エンジンをミッドシップに搭載した試作モデル。ウェッジシェイプなボディを1/43スケールでも見事に再現。注目の1台となっていた。価格はどちらも9900円(消費税込)。
ファーストミニッツにトヨタ「ハイエース」が追加
京商といえばミニチュアカーだけではなく、ラジオコントロールカーも取り扱っていることで有名だ。その入門編と言えるのがインドアで楽しめる「ファーストミニッツ」シリーズ。単3電池4本ですぐに走行可能なモデルとなっており、日産「GT-R」やスバル「軽トラ サンバー」、シェルビー「コブラ」
そのシリーズに新たに追加になるのがトヨタ「ハイエース」だ。
ファーストミニッツは、価格を6578円(消費税込)に抑えながら、京商がこれまでラジコンで培ってきた技術を惜しみなく採用。例えば、前後左右フルファンクションデジプロ仕様となり、トイR/
また、ファーストミニッツのポイントのひとつである「新リアルドライブ機構」は、トリガーを引く量でスピードの調整ができ、ホイールを回す量でタイヤの切れ角をカーブに合わせて自由自在に動かすことができる。さらにヘッドライト点灯可能で、
また、シャシー本体には走行時の衝撃を吸収する前後サスペンションに加えて、しっかりと路面をつかむゴムタイヤを装備。操縦者の意思に忠実かつ安定した走りを実現した。 京商 マーケティンググループは、こうコメントしてくれた。
「以前、スバル サンバーをリリースした時にSNSを見ていたところ、購入者の方が、オリジナルでモディファイされていたのを見て驚きました。走らせるだけではなく、100円均一で売っているビールケースのペンケースを積んだりオリジナルでステッカーを作って貼ってみたり、加飾するのも楽しみのひとつとして提供できればと思っています」
ミニッツにはカローラレビンとハコスカレーシングが追加!
本格的な走る楽しさをもたせつつ、モデルカーとしても魅力的な「ミニッツ」シリーズからは新規金型で製作したトヨタ「カローラレビン」も登場。ボディはホワイト×ブラック、レッド×ブラックの2トーンパターンの、いわゆるパンダカラーがラインナップ。
ベースとなっているのは、四輪駆動シャシーにドリフト専用タイヤを装着した「ミニッツAWD」に、Syncro KT-531P送信機を組み合わせた「レディセット」。初心者でもこのセットだけで手軽にドリフト走行を味わえるが、送信機の操作に慣れメカニズムへの理解度も高まったら、実車さながらのチューニングを楽しむことも可能なのだ。
さらに同シリーズにはもう1台、日産「スカイライン2000GT-R(KPGC10)レーシング」も追加。伝説のレーシングドライバー、故・高橋国光さんが乗った2台のハコスカレーシングカーを再現しており、自宅の廊下で国さんばりのドリフト走行を決めながら遊ぶことができる。価格はいずれもレディセットで3万800円(消費税込)。
プロポーションにぐっときたフェーザーMk2シリーズ最新作
最後に紹介するのは、実車のフォルムを最大限再現したボディに、メンテナンス性を高めたシンプルなデザインのシャシーを組み合わせた「フェーザーMk2」シリーズ。1/10スケールの電動ラジコンカーの走りを純粋に楽しめるのが特徴だ。あらたに追加されたのは、1972年式マツダ「サバンナGT チューンドバージョン」だ。当時流行ったツーリングカーレースを模したストリート仕様のモディファイがされている。
まず驚いたのが、そのディテール。ボディはポリカーボネート製だというが、ダイキャストでもレジンでもないのにここまで精密に再現できている点だ。前期型の特徴といえる四角いラジエターグリルに丸目4灯のヘッドライト、大型のメッキバンパーに埋め込まれたウインカーレンズは、ラジコンカーとは思えない出来栄えといえる。 リアのスタイリングを見てもわかるように、CピラーにはGTのエンブレムが埋め込まれ、ボディサイドには「SAVANNA」の文字がある。
さらに、テールレンズのメッキトリムもフロント同様に再現されている。 流れるようなボディラインも美しくて見入っていると、京商の担当者は次のように話してくれた。
「ボディラインは金型の割り方によって変わるので、試行錯誤しました。エッジの立て方でクルマの見え方はかなり変わりますね。ここまで実車に近づけられたのは、マツダの協力もあってです。まずは多くの人にボディを見ていただきたいですね」
価格はレディセットが4万1800円(消費税込)。
さらにもう1台、1971年の東アフリカで開催されたサファリラリーで活躍した「ダットサン240Zラリー」も登場した。同車は初出場ながら総合優勝を果たすなど、日産としては前年の510型「ブルーバード」に続き2勝目をもたらした。こちらは神奈川県にある日産のヘリテージコレクションに展示されているエドガー・ヘルマン/ハンス・シューラー組が駆ったマシンを取材し製品化されている。
ボンネットには2灯のライトポッドに加えて、ラジエターグリルの前にも1灯追加されている。さらに助手席側のAピラーにも1灯追加されているが、じつはこちらは鹿よけ用のスポットライトで、コースを完全に閉鎖することなどありえない、野生動物が現れたりもする往年のサファリラリーでは必須のアイテムとなっていた。ちなみに別売のLEDユニットシリーズをライトバケットに装着すると点灯することができる。
ディテールばかり触れてしまったが、プロポーションにも注目だ。サファリラリーは、WRCの中でも異色の存在となる耐久競技だけにマシンの出で立ちも変わってくる。例えば、車高は高めにセットアップされ、タイヤもブロックパターンの大きなタイプ(新規金型で作成!)を採用している。この立ち姿も含めた再現力はマニア心をくすぐる。 価格はレディセットが4万8400円(消費税込)。
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ここでピックアップし紹介したのは個人的に「いいな!」と思ったひと握りのアイテムばかりだが、画像ギャラリーには、本文中で紹介できなかった数多の商品を載せているのでぜひチェックしてほしい。今回、1台1台じっくり見て回ったが、あらためて感じたのは、京商ではスケールダウンをしたホビーを作るだけではなく、実車の魅力を限りなく盛り込んだアイテムを展開しているということ。こんな細かいところまで……! と思わせてくれるディテールには、ミニカーやラジコンカーを通じてクルマが持つ歴史や文化を知ってほしいという意味も込められているのではないだろうか。