エンジンではなくバッテリーからの電力でコンプレッサーを駆動
温暖化が年々厳しくなる中、クーラーのない旧車での夏のドライブはまさに地獄。後付けのクーラーを付けたくてもエンジンが非力だったり物理的な制約があったりで、装着が難しいのが実情でした。ところがここ最近、コンパクトカーや特殊なレイアウトの車両などにも簡単に装着できる「電動クーラーキット」が登場し、旧車界隈で話題となっています。従来のクーラーキットと何が違うのでしょうか。
旧車やマイナー車種用に電動クーラーをキット化
もともと自動車用のクーラーは、エンジンの出力を使ってコンプレッサーを駆動し、これによって冷媒ガス(昔はフロンガス)を圧縮し、この冷媒ガスが気体に戻る際の気化熱を使って車内を冷やしている。この仕組みは第二次世界大戦前のアメリカですでに確立されており、基本的には今でもまったく同じ仕組みで動作している。
ところが1970年代頃まではカークーラーはオプション扱いであることが多く、現在のように全てのクルマにクーラーが装着されているわけではなく、大衆車や軽自動車は、長らくクーラーなしが多かった。
そのため国産旧車に乗っているオーナーの中には車種別に設定された後付けのクーラーキットを装着するケースが多かったのだが、エンジンルームのスペースの問題で装着が大変だったり、マイナー車種はそもそもキット化されなかったりといった問題があった。
そこで最近注目が集まっているのが、電動コンプレッサー式のクーラーキットだ。最大の特徴はエンジンの出力を使わず、電力でコンプレッサーを駆動するという点にある。
それ以外は、外気で冷媒を冷やすコンデンサーや、車内の吹き出し口とブロワーファンがセットとなったエバポレーター、レシーバータンク、そしてそれぞれを接続するホース類がセットとなっている。車種別にブラケットやプーリーを作成する必要がなく、コンプレッサーをはじめとした構成パーツを設置するスペースさえあれば装着が可能だ。