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走行距離の少ない中古車は買うべき? 低年式・低走行物件に潜む甘い罠を詳しく解説します「クルマは動かしてなんぼです」

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TEXT: 近藤暁史(KONDO Akifumi)  PHOTO: AMW/photo AC

  • 乗っていないクルマの消耗品はそれなりにかかる
  • 走行距離が少ないと、イメージとは裏腹に程度や調子はあまりよくなかったりする
  • 内装にもカビが生えていたりすることがある
  • 新車の雰囲気が楽しめるものの、放ったらかしのクルマにはそれなりの費用がかかる
  • 中古車を購入する際、年式や走行距離を参考にするのは基本中の基本
  • 低走行距離者は、調子を戻す費用と手間を天秤にかけて、問題なければ購入するのもありだろう
  • 走行距離の少なさはかなりの魅力で、最終的には得するんじゃなかろうか、なんて思ったりするが……

数字だけ見て手放しで飛びつくのは避けたい

オークションや中古車サイトで目にする走行距離の少ないクルマ。日本における1年間の走行距離は1万kmが目安とされています。そんななか年式のわりには走行距離の少ない個体は、果たしてお買い得と言えるのでしょうか。

走行距離はお金で買えないのも事実だが……

中古車を購入する際、年式や走行距離を参考にするのは基本中の基本。一般的には年式がかさめば走行距離もかさむので、価格や予算を横目で見ながら自分の求めるものを探していくのはじつに楽しいひと時だったりするのだが、たまに出くわすのが年式の割には走行距離が少ない個体。なかには新車からほとんど走っていないこともあったりするほどで、極上モノの予感たっぷりだ。

当然、お値段は高いものの、走行距離はお金で買えないのも事実。ちょっと高いけど、走行距離の少なさはかなりの魅力で、最終的には得するんじゃなかろうか、なんて思ったりする。しかし、実際のところはどうなのだろうか?

そもそもなぜ低年式なのに低走行車が生まれるのかというと、よくあるのが単なるお買い物グルマで、近所しか走っていないというもの。そのほか、保管するところはいっぱいあるので、結局あまり乗らないけど、そのまま置いておいたというのは地方あるあるだろう。納屋モノなんて呼ばれていたりする。そのほか大切にしすぎて乗らず、気がつけばなんらかの事情で乗れなくなったので手放したというのもある。

理由はこのような感じなので、正直なところ、イメージとは裏腹に程度や調子はあまりよくなかったりする。簡単に言ってしまうと、古いオイルは入れっぱなしでシリンダーの油膜も落ちてしまっているし、タイヤやブレーキは動いていないのでずっと同じ位置のまま。ガソリンも腐ったり劣化する。また車内やエンジンルーム、ラゲッジも空気が淀むので、湿気やカビなどにやられることもある。住んでない家が劣化しやすいのと同じだ。ビンテージ車のように、油脂類は全部抜いて、ジャッキをかけて、エアコン完備のガレージで保管できればいいのだが。

某メーカーの博物館でも、学芸員が「所蔵車も数年経つだけでエンジン始動が大変になってしまう」と言っていたのが今でも印象に残っているし、個人的にも所有する低年式の低走行車(元お買い物グルマ)のホースが固くなっていて破れ、オーバーヒートしたばかりだ。

クルマは動いてなんぼのもの。これまた雑な例えだが、人間はずっと寝てじっとしていれば健康なのかというとそんなことはなく、ある程度ストレスをかけて運動をしたほうが結果的に調子がいいのは当然のこと。クルマもエンジンに熱が入り、オイルが回り、サスペンションなどが動くことで好調を維持可能。消耗が進むのは機械である以上仕方がないし、それが前提でもある。そのためにメンテナンスというものを行なうわけで、定期的に面倒を見ていれば、走行や年式がかさんでも調子を崩すことはない。

ただ、保管の方法によっては手を加えるにしてもベース車としては良好なこともあるので、調子を戻す費用と手間を天秤にかけて、問題なければ購入するのもありだろう。奥底の程度やどう仕入れたかも関係してくるので、販売店に相談したり、説明してもらうといい。とりあえず数字だけ見て手放しで飛びつくのは避けたい。

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