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日本の「ガレーヂ伊太利屋」がオーダーした最後の「デルタHFインテグラーレ」とは? 250台限定のランチアの価値は3000万円以上!?

日本の「ガレーヂ伊太利屋」がオーダーした最後の「デルタHFインテグラーレ」とは? 250台限定のランチアの価値は3000万円以上!?

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TEXT: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  PHOTO: 2024 Courtesy of RM Sotheby's

日本で一定期間を過ごしたシリアルナンバー244

今回のRMサザビーズ「MONACO 2024」オークションに出品されたランチア デルタHFインテグラーレ エヴォルツィオーネII “エディツィオーネ・フィナーレ”は、オークション出品にあたって添付された「ランチア・クラシケ原産地証明書(Lancia Classiche Certificato di Origine)」によると、1995年1月19日にラインオフしたとされ、日本市場専用の限定250台の最終期にあたる244番目の生産車両とのことである。

ファクトリーから出荷されたのちのヒストリーは、少なくともRMサザビーズのオークション公式ウェブカタログには記されておらず、またリアウインドウに貼られていた有名な「garage伊太利屋」のディーラーステッカーの痕跡も見られないようだが、エンジンルームには日本語表記のコーションステッカー2枚が確認できることから、当初の目的どおり日本に正規輸入された1台であることは紛れもない事実であるようだ。

同じく添付された整備記録簿とインボイスによると、正確な時期は不明ながらイングランドに輸出され、2023年2月に英国ノース・ヨークシャー州ノーサラートンに本拠を置く、有名なHFインテグラーレのスペシャリスト「ウォーカーズ・ガレージ(Walkers Garage)」社にて、大規模なメインテナンスを受けている。

この整備の際には、ブレーキシステムやセントラルロックシステム、ロワーサンプパンなどが改修されたとともに、同時期にイギリスの車検に相当する「MoT」検査にも合格したものの、英国内のナンバー登録はされていないとのことであった。

このエディツィオーネ・フィナーレのシリアルナンバー244は、ともすれば悪趣味なモディファイが施されがちなデルタHFインテグラーレの中にあって、アップグレードされた排気システムを除いては一切の改造も施されていない、稀有な1台といえよう。

くわえて、公式カタログ作成段階での走行距離は8万2860kmと、ヨーロッパの常識ではローマイレージ。インテリアトリムには新車時以来の保護フィルムが残されているなど、オリジナリティやコンディションの面でも申し分ないとアピールされていた。

このデルタ エヴォII “エディツィオーネ・フィナーレ”に、RMサザビーズ欧州本社と現オーナーは、協議の結果18万ユーロ~20万ユーロというエスティメート(推定落札価格)を設定した。

エディツィオーネ・フィナーレといえば、2021年5月に英国「アイコニック・オークショネア」社が開催したオークションでは、21万8250英ポンドで落札された事例もあることから、日本円では約3060万円~3400万円に相当する今回のエスティメートは、きわめて順当なものとも思われた。

ところが、実際の競売では思いのほかビッド(入札)が伸びなかったようで「Not Sold(流札)」に終わってしまい、現在は上記のエスティメートを表示したままRMサザビーズ社の営業部門で継続販売とされているようだ。

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  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 1967年生まれ。かつてロールス・ロイス/ベントレー、フェラーリの日本総代理店だったコーンズ&カンパニー・リミテッド(現コーンズ・モーターズ)で営業・広報を務めたのちイタリアに渡る。帰国後は旧ブガッティ社日本事務所、都内のクラシックカー専門店などでの勤務を経て、2001年以降は自動車ライターおよび翻訳者として活動中。また「東京コンクール・デレガンス」「浅間ヒルクライム」などの自動車イベントでも立ち上げの段階から関与したほか、自動車博物館「ワクイミュージアム(埼玉県加須市)」では2008年の開館からキュレーションを担当している。
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