クラシックカーの入門編から上級編まで、若者にお勧めしたいクルマたち
昨今では、価格高騰ばかりが話題に上りがちで、若者には縁遠い感のあるクラシックカー/ヤングタイマー・クラシックではありますが、感性がフレッシュで、まだ体力もある20代のうちにこそ乗っておきたいクルマも確かに存在します。これらをステップとして、より上級カテゴリーに駆け上がるもよし。あるいは、もしも本当に気に入ってしまったなら「生涯の相棒」とするにも相応しいクルマたち10台を、筆者の嗜好と偏見まる出しでセレクトしてみました。
死ぬまでに一度は乗って損はない入門車編
生産台数が多く、しかも名車と呼ばれ愛されるクルマには、クルマが持つ魅力がたくさん詰まっている。こうしたクルマに早くから親しんでおくことは、クルマ趣味としてまず間違いのない選択である。かつてはかなり手頃に購入できていたが、昨今では価格が高騰しているのがネックではある。
ユーノス/マツダ ロードスター
「30歳までに乗っておくべきクルマ」を問われたら、現代車では現行のマツダ「ロードスター」。そして、クラシックカー(ヤングタイマー)まで範囲を広げれば、初代ユーノス ロードスターか2代目マツダ ロードスターを筆頭に挙げざるを得ないだろう。
「MG-B」など、比較的ユルめの英国製ライトウェイトスポーツカーを20世紀末のテクノロジーの性能基準で復活させるという基本コンセプトは、現代におけるヤングタイマー・クラシックとして見ても秀逸なもの。
モディファイやドレスアップの余地が残されていることも、それぞれの個性やスキル、テイストを磨くべき時期にある20歳代のエンスージアストにとっては、大切な要素と考えられる。
フォルクスワーゲン タイプ1
単一モデルとしては世界でもっとも大量に生産されたVW「タイプ1」(ビートル)だが、同時に趣味のクルマとしても長い歴史を誇る。そして、今世紀初頭の2003年まで生産されたメキシコ製でも構わないので、一度はステアリングを握っておくべきクルマの筆頭格と感じられる。
ただし、タイプ1でもほかのモデルであっても、空冷VWはよほど肌が合ってしまうと一生その世界に留まることになる可能性も高いようだが、それはそれで良きクルマ人生であるとも思われよう。
フィアット ヌォーヴァ500
言わずと知れた「チンクエチェント」ことフィアット2代目「500」は、自動車史上最もキュートなモデルのひとつでありながら、最終型でも18psの空冷2気筒499ccエンジンを、とくに初期型ではシンクロメッシュ機構を持たないギヤボックスを使いこなして走らせるという、かなり高等なスキルを要求してくる。
でも、運転しながら思わず笑ってしまうほどに愉しい。トラブルで路肩に停める羽目になってしまっても、正直なんだか愉しい。このクルマとともに過ごす、あるいは格闘する20代は、とても鮮烈な記憶として生涯残るに違いないのだ。
クラシック ミニ
BMC時代、「オースティン」および「モーリス」ブランドで販売されたMk-1やMk-2は、今や世界的なコレクターズアイテムとして認知されているが、インジェクション仕様の最終型「ローバー ミニ」だって立派なクラシックカー。自動車という乗り物の楽しさを小さな車体に凝縮したような、ミニ固有の楽しさは若いうちに経験しておきたい。
今なお、新車を作りあげることが可能なほどにパーツ供給体制も充実していることもあって、生涯の友にもなり得るミニ。ステップアップとして、より旧いミニへと乗り換えてゆく「先祖返り」型エンスーとなってしまうのも、昔から定番・王道のパターンだった。
MG-B
実用性が高くてリーズナブル、なのに本格派のブリティッシュ・スポーツカー。エンスー界の門を叩こうとしている若い人たちに、筆者がいつも第一に薦めるのが「MG-B」である。
空冷VWやミニが、良くも悪くもそれぞれのモデルの世界だけで完結できるのに対して、MG-Bはオースティン「ビッグヒーレー」やジャガーなど、同じ英国製のスポーツカーへと展望が広がるというのも、無限の可能性を持つ若きエンスーの将来のためには、とても重要な特質であろう。
それでも「トゥアラー」ことオープンモデルは、とくに初期モデルではけっこう価格も上昇している感もあるが、クローズドハッチバッククーペの「GT」は、日本ではタマ数こそ少ないものの、もし見つかればかなりリーズナブル。
ミニと同様、新品モノコックまで入手できるほどにパーツ供給状況が良好であることも、このクルマをお勧めする大きな理由である。