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フェチれるベントレーの「ローテーションディスプレイ!」 まるでスパイ映画の特装車のような機能とは【クルマdeフェティシズム】

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TEXT: 南陽一浩(NANYO Kazuhiro)  PHOTO: Bentley Motors

  • ベントレー フライングスパー:4.0L V8エンジン、6.0L W12エンジン、2.9L V6ハイブリッドという3種類のパワートレインから選べる
  • ベントレー コンチネンタルGT:4.0L V8ガソリンエンジンと、驚異的なパワーを発揮する6.0L W12ガソリンエンジンの2種類のパワートレインから選択可能
  • ベントレー フライングスパー スピードのコクピット
  • ベントレーのインテリアは調度品が揃ったサロンのような仕立て
  • ベントレーのローテーションディスプレイ:ダッシュボードと同じ素材・同じ意匠で覆われるオフモードの面
  • ベントレーのローテーションディスプレイ:3面それぞれが縦回転でパタパタと機能を切り替えられ、アナログ表示の3連メーターが現れる
  • ベントレーのローテーションディスプレイ:回転して切り替えるとインフォテイメントのタッチディスプレイが現れる
  • ベントレー フライングスパーに搭載されるローテーションディスプレイの機構

微より大なるは無し! 偏愛視線でフェチれるアノ車のココ

よく「神は細部に宿る」とか「神ってる」とはいうけれど、やおよろずの神をあちこちに見出して情緒的に神格化していると「木を見て森を見ない」シンドロームに陥りやすいもの。むしろクルマの場合、入念に仕上げられたディテールは、豪華一点主義や魂を込めんがためにトップアップされたのではなく、全体の成り立ちや存在理由そのものを語ってしまう、そんな雄弁さを秘めているものです。今回は偏愛視線でフェチれるあのクルマのココに焦点を当てるべく、ベントレーのローテーションディスプレイについて語ります。

ベントレーが究極のドライバーズカーである理由は「オフモード」にあり

ベントレーの「コンチネンタルGT」と「フライングスパー」に備わる、あのローテーションディスプレイは見事なものだ。3面それぞれが、縦回転でパタパタと機能を切り替える様子は、まるでスパイ映画の主人公の特装車を思い出させるが、そこにキャッキャとした歓びを見出すのはもっともプリミティブな、男のメルヘンレベルとしておこう。真に凄いのは、インフォテイメントのタッチディスプレイ一式と、アナログ表示の温度/方角/ストップウォッチの3連メーターを消し去り、ダッシュボードと同じ素材・同じ意匠で覆ってしまう、あのオフモードの面だ。

今後、レベル3から先の自動運転化が進んでいくとされ、車内空間のエンタメ化や乗員に与えるエクスペリエンスにあらゆるメーカーが及々としている中で、ベントレーほどの高級車がダッシュボードの1等地にあえて何も示さない、その特異性には注意を傾ける必要がある。確かにいまだレベル2とはいえ、現実には新東名あたりでそこそこ小賢いADAS付きのクルマで走行中のドライバーなら、ほぼ例外なくACCオンのまま動画を視聴しているような末世だ。

ベントレーのインフォテイメント無し、かつデジタル・デトックス提供中モードは、アナログ重視どころかアナクロニズムでさえある。メルセデス・ベンツの「Sクラス」、「Eクラス」のようにダッシュボードのほぼ全面をタッチディスプレイとし、ゼロレイヤー化とマルチ&高機能化させる方向とは対極だが、いずれもGAFA的プラットフォーマーからドライバーのプライバシーを切り離して守るという考え方の上で、重なるところがないわけでもない。

端正にしてむっつり気味な英国的エロティシズムの権化

いわばベントレーのケースは、ドライバーズカーとしてステアリングを握る者に「さあ私に溺れなさい」と語りかけているのと同義ですらある。調度品が揃ったサロンのような車内で、ベントレーならではの超絶パワートレインやスポーティなシャシーと対話を楽しむ以上に、体感に値するエンターテイメントが果たしてあるのか? そんな自信満々の問いかけですらある。これは運転を楽しまない朴念仁には何も語りかけてこないメッセージだが、そうでない粋人にはもう、プレイとして強気にして濃密かつエロ過ぎる。

確かに昭和から平成の変わり目、まだナビゲ―ションが普及し出したばかりの頃、ナビ画面や音声案内にあれこれ指図されながら走るのはドライバーとして不愉快、という感覚がまだあった。令和のつい最近、とある国産車の試乗会で、ホームボタンもタイル画面もないインフォテイメントの使い勝手がひどく落ち着かなくて、開発主査にデフォルト画面って何ですか? と尋ねたら「ナビ画面じゃないですか」との回答で、ひどく面食らったことがある。ベントレーと比較しては気の毒だが、経験の質よりも機能性とコスパに最適化され過ぎて、乗り手に「究極の自由」を提供するのが高級車、という考え方が皆無なのだろう。彼我でドライバーズカーの差は仕上げや性能スペック以上に、形而上学的レベルで開きがあるのだ。

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