高速道路やサーキットを走る人ほどメリットが大きい
ブースではサンプルに塗られたSPPFを剥がしてみる体験もできたが、商品の性質上、やはり施工するところを見たほうが伝わりやすい。というわけで、宮城県仙台市の「ケイズベンチ」で、作業の過程をひととおり見学させてもらった。SPPFを塗ったのはトヨタ「86」のボンネットなどで、基本はストリートながらサーキットを走る機会も多い仕様だ。
まずは塗料とシンナーを容器に入れて攪拌し、ブースで塗装するのは通常の塗料と同じ。SPPFの特徴は薄い皮膜を何層も重ねることで、衝撃吸収層/密着層/クリア層という構造になっている。途中で塗装面を軽く触らせてもらったところ感覚は完全にゴム。メーカーが売り文句とする弾力性がよく理解できた。メーカーが指定する回数の重ね塗りをすれば完成だ。色がクリアなので見た目こそまったく変わらないものの、先ほどの手触りを考えれば保護力の高さは明らかだろう。
スポーツカーを多く取り扱うケイズベンチの高橋代表によると、高速道路やサーキットを走る人ほどありがたみが理解しやすく、また旧車や輸入車オーナーからの問い合わせも多いらしい。
以前SPPFを施工したクルマがサーキットを走行中、前車がコースアウトし大量の飛び石を受けたことがあった。防護力をチェックするためオーナーと塗装を剥がしてみたところ、表層に小さな傷こそあったが本来の塗装はノーダメージだったという。
フロントまわりだけなら施工は20万円程度から
今のところフロントバンパーにボンネットなど、フロントまわりに限定したオーダーが多いらしく、それであれば価格は20万円~がおおよその目安とのこと。もちろん当たり前の塗装よりは高額になってしまうけれど、傷や紫外線からの保護という副産物の価値は計り知れない。冷蔵庫やツールチェストなどに塗りたいという声もあるそうで、ケイズベンチでは今後クルマ以外への施工も模索していく。
なおSPPFとラバーディップを取り扱う認定店は、2024年5月の時点で全国各地に80店ほど存在している。いずれもトレーニングを受け高い技術を持つプロが在籍しているので、興味を持った人はウェブサイトから近くの店舗を探してみよう。
■SPPF
https://sppf.rubberdip.jp
■ラバーディップ
https://rubberdip.jp
■作業協力
ケイズベンチ
所在地:宮城県仙台市若林区荒井字笹屋敷88-2
TEL:022-290-7438
営業時間:9:00~19:00
定休日:毎週日曜日