サイトアイコン AUTO MESSE WEB(オートメッセウェブ)

クルマのボディ保護は「貼る」から「塗る」へ!? 簡単に剝がせる「SPPF」はスポーツカーから旧車まで人気になる予感大です

SPPFにしろラバーディップにしろ、キレイに剥がせるのは大きな魅力だ。まさに新しい時代のボディプロテクションといえるだろう

塗って剥がせる塗料&プロテクションフィルム

どんなにクルマを大事に扱っていても、道を走っていれば飛び石などでボディにダメージを受けてしまいます。従来のプロテクションフィルムでは、切れ目や継ぎ目が気になるのは仕方ないところでした。そこで最近注目を集めているのが、塗って剥がせるプロテクションフィルム「SPPF」です。どんなものなのか、その概要と実際の施工現場を解説します。

施工後は通常の塗装と同様に扱えて、剥がすのは簡単

2024年4月27~28日に夢メッセみやぎで開催された東北カスタムカーショー2024。思い入れある愛車を日ごろから使いたいけど、飛び石などによる傷が付くのは嫌だ。そんなクルマ好きが熱い視線を送った「ラバーディップ&SPPF」のブースでは、施工店による作品というべき日産「GT-R」やポルシェがズラリと並び、来場者がスタッフの解説を真剣な表情で聞き入っていた。

ラバーディップとはゴムのような弾力性を持つ塗料で、80以上もある基本色に加えそれぞれを調合し、自分だけのオリジナルカラーを作ることが可能。最大のメリットは剥離材を使わずに剥がせる点で、通常の全塗装よりも気軽にカラーチェンジを楽しめるのだ。ラッピングと比べても継ぎ目がなく糊も残らないなど、数多くのアドバンテージを有しているのも注目を集める理由だ。

もうひとつのSPPFは「スプレー・ペイント・プロテクション・フィルム」の略で、ひと言で説明するとスプレーガンでボディに吹き付けるタイプの透明保護塗料だ。重ね塗りした皮膜が保護フィルムの役割を果たすことで、飛び石や小枝の傷からボディをしっかりとガード。ラバーディップと同じく簡単に剥がせる特性を持ち、糊が残らないことや継ぎ目がないことも共通している。

そして環境によって多少は前後するが耐久性は3~5年と長く、UVカットで紫外線から守ってくれるのも大きなメリットだろう。さらにコーティングや磨きも一般の塗装と変わらずできるという、一石二鳥どころか三鳥にも四鳥にもなる魔法の塗料といっていい。

高速道路やサーキットを走る人ほどメリットが大きい

ブースではサンプルに塗られたSPPFを剥がしてみる体験もできたが、商品の性質上、やはり施工するところを見たほうが伝わりやすい。というわけで、宮城県仙台市の「ケイズベンチ」で、作業の過程をひととおり見学させてもらった。SPPFを塗ったのはトヨタ「86」のボンネットなどで、基本はストリートながらサーキットを走る機会も多い仕様だ。

まずは塗料とシンナーを容器に入れて攪拌し、ブースで塗装するのは通常の塗料と同じ。SPPFの特徴は薄い皮膜を何層も重ねることで、衝撃吸収層/密着層/クリア層という構造になっている。途中で塗装面を軽く触らせてもらったところ感覚は完全にゴム。メーカーが売り文句とする弾力性がよく理解できた。メーカーが指定する回数の重ね塗りをすれば完成だ。色がクリアなので見た目こそまったく変わらないものの、先ほどの手触りを考えれば保護力の高さは明らかだろう。

スポーツカーを多く取り扱うケイズベンチの高橋代表によると、高速道路やサーキットを走る人ほどありがたみが理解しやすく、また旧車や輸入車オーナーからの問い合わせも多いらしい。

以前SPPFを施工したクルマがサーキットを走行中、前車がコースアウトし大量の飛び石を受けたことがあった。防護力をチェックするためオーナーと塗装を剥がしてみたところ、表層に小さな傷こそあったが本来の塗装はノーダメージだったという。

フロントまわりだけなら施工は20万円程度から

今のところフロントバンパーにボンネットなど、フロントまわりに限定したオーダーが多いらしく、それであれば価格は20万円~がおおよその目安とのこと。もちろん当たり前の塗装よりは高額になってしまうけれど、傷や紫外線からの保護という副産物の価値は計り知れない。冷蔵庫やツールチェストなどに塗りたいという声もあるそうで、ケイズベンチでは今後クルマ以外への施工も模索していく。

なおSPPFとラバーディップを取り扱う認定店は、2024年5月の時点で全国各地に80店ほど存在している。いずれもトレーニングを受け高い技術を持つプロが在籍しているので、興味を持った人はウェブサイトから近くの店舗を探してみよう。

■SPPF
https://sppf.rubberdip.jp

■ラバーディップ
https://rubberdip.jp

■作業協力
ケイズベンチ
所在地:宮城県仙台市若林区荒井字笹屋敷88-2
TEL:022-290-7438
営業時間:9:00~19:00
定休日:毎週日曜日

モバイルバージョンを終了