「汗臭さ」がなくなり洗練された走りに
まずは空いた山間部のカントリーロードを走りまわる。第一印象は随分と洗練されたな、だった。以前のヴァンテージにあった汗臭さがない。インテリアの見栄えや質感のみならずライドコンフォートによっても乗り味の洗練さが強調されている。デフォルトのドライブモードはスポーツ。明らかにボディは強くなっており、それゆえシャシーもしなやかによく踏ん張ってくれる。コーナリングの軌跡がつねに思い通りで、曲がりやすさ、とくにアクセルオフでのノーズの向きの変化がFRらしく、しかも自然で楽しい。
ドライブモードをスポーツ+にセットして攻め込むと、途端にスパルタンになった。フラットではない公道の路面ではリアアクスルの動きにつねに神経を尖らさなければならない。もはや一般道で目を三角にして走る時代ではないのだ。脈拍を上げない程度の領域でマシンとの対話を楽しむ方が心地よいというもの。
その限りにおいてドライバーはクルマからの制御を恩着せがましいと思うことなく、あたかも自分の技量のうちで走らせているという感覚に浸ることができる。それこそが新たなドライバー・エンゲージメントのあり方というものだろう。
真の一体感はサーキットで味わうことになった。まずはドライブモードをスポーツ+にし、シャシー制御も効かせて、変速もオートマチックで走らせる。かなり高い速度域(ストレートでは250km/h)で走り続けると、トルコンオートマチックの制御やカーボンセラミックブレーキの制動性に若干の不満が出るものの、総じて楽しいFRスポーツカーに終始した。
サーキット走行において重宝したのが、ESPの介入レベルを調整する機能(アダプティブ・トラクション・コントロール、8段階で1が最小)だ。いろいろと試してみた結果、真ん中あたりの5を使い、ある程度リアの滑りを許してコーナーを脱出した方が、例えばタイトヴェントの立ち上がりでのリアアクスルの上下動も抑え込まれ、気持ちよく走らせることができた。
さらに付け加えるならば、ワインディングロードでもサーキットでもV8エンジンはつねに力強くヴァンテージの前進を支えている。吸排気サウンドにも工夫が凝らされて、課題であった官能性の表現も随分と上手くなっていた。このあたりもまたDB12と同じ進化の度合いを見せたといっていい。