ニュルブルクリンクは天気の神様に見放され……
世界一過酷と言われる、ドイツ・ニュルブルクリンク24時間レース。ドイツ在住の池ノ内みどりさんも毎年取材しています。2024年は決勝がスタートして以降、雨が降ったり止んだりを繰り返していましたが、夜中になって濃霧となり視界不良でレースは中断。多くの取材チームはどうすることもできず、再開までまったりとした時間を過ごしたそう。レース中断中の深夜、そして翌日の模様をリポートします。
悪天候によりレースは長時間の中断に
2024年6月1日(土)にスタートしたニュルブルクリンク24時間レース。スタートとほぼ同時に雨が降り出すなど、「ニュルウェザー」に惑わされた前半戦でしたが、日本勢のSTIやヨコハマタイヤ、ファルケンタイヤ、トーヨータイヤを装着するチームは順調に周回を重ねていました。
スタートから1時間ほど降った雨のあとはドライコンディションが続いたのですが、ナイトセッションに入ってから、20時を目前にノルドシュライフェ(北コース)で雨が降り出し、またピットロードがバタバタ状態。以後、ちょっとドライというような感じだったのですが、22時頃からまた雨という状況に。それも降ったり止んだりだったのですが、そこからがちょっとやっかいで濃霧が発生し、なんと23時15分にはレッドフラッグが降られてレースは翌朝7時まで中断となりました。
その後の展開は、朝7時にレースコントロールからの状況発表を待つということになり、私はSTIチーム名物の「深夜のニュルカレー」の調理手順を見せていただいてから、宿へ戻ってシャワーを浴び、ひと休憩。しっかりと寝てふたたびニュルへ戻ってきましたが、まだまだ濃霧と強風でレースは絶賛中断中だったのでした。
私たちメディア関係者が仕事をするメディアセンター(プレスルームとも言いますね)では、まったりとした雰囲気が続き……。何もしていないのにお腹は空くもので、ランチのメニューが気になってしかたがない有様(笑)。
ちなみにドイツといえばソーセージ! とアタマに浮かぶ方も多いかと思いますが、私の周りでは自宅で日常的にソーセージを食べる人はそんなに多くないように思います。BBQやお祭りの屋台で買うホットドッグ的なもの、カリーヴルスト(焼きソーセージにカレー風味のケチャップがかかったもの)を外で食べるイメージです。朝食やお弁当で食べる日本人の方が、ソーセージを食べる機会はずっと多いのではないでしょうか。
少なくとも私は年に数回ほどしか買いませんので、ソーセージ=サーキットのメディアセンターでいただくご飯というイメージです(笑)。もうこのニュルのレースウィークで1年分以上を食べたような気がします。
午後にようやくレース再開となったが……
長時間にわたり赤旗で中断していただけに、すっかりのんびりモードだったところに、13時30分からフォーメーションラップ開始というアナウンスが入り、一気にバタバタモードです。
慌ててスタートグリッドまで走って行き、そのまま1コーナーのイン側で待ち構えていました。セーフティカーの先導のもとでフォーメーションラップが開始したのですが、一向に天候の回復が見こめません。わずか150m先さえも視界はゼロ! 本当にレースが再開されるのでしょうか? という状況……。セーフティカーの先導で5周を走り、残念ながら天候が回復しないという判断により、そのままレース終了となりました。レースウィークを通してものすごく悪天候でしたが、2023年を上まわる24万人ものファンで大賑わいとなったニュルブルクリンクでした。
2008年からSTI NBR CHALLENGEを率いたSTIの辰己総監督のご勇退レースは、24時間の内のわずか7時間あまりという短いレースで幕を閉じました。
「その時、その時に全力を尽くした16年だったので、過去にやり残したことも後悔もないよ」
と、じつに辰己総監督らしいお言葉をいただきました。88号車スバル WRXは、総合51位でSP4Tクラス優勝を勝ち取り、辰己総監督のご勇退に華を添えました。辰己総監督に長年の「おつかれさま」を伝えるため、地元ドイツの多くのチームが辰己さんの元を訪れ、ひとりずつと両手で握手をされている姿が感動的でした。
辰己英治総監督、16年ものSTI NBR CHALLENGEで多くの感動をありがとうございました!