サイトアイコン AUTO MESSE WEB(オートメッセウェブ)

1100馬力の日産「GT-R」でガチテスト!「TOYO PROXES R888R」はプロドライバーも納得の出来でした「食わず嫌いはやめましょう」

トレッド幅が広いので、初心者ならば表面の強力なグリップ力を使ってタイムを引き出すことが可能だ

ハイパフォーマンスラジアルタイヤ「R888R」の実力診断テストを実施

TOYO TIRESのグローバルスポーツタイヤブランド・プロクセスのフラッグシップの「R888R」は、ブリヂストンの「ポテンザ RE12D」やヨコハマの「アドバンA052」、ダンロップの「ディレッツア β06」などと肩を並べるモータースポーツ直系のハイパフォーマンスラジアルタイヤです。「トーヨー・プロクセスドライビングプレジャー」でその実力診断テストが行われました。

タイムアタックシーンでは実力が未知数だったR888Rの性能

R888Rのデビューは2016年とライバルに比べて古い。だが、各タイヤメーカーがしのぎを削り、頻繁なアップデートなくしては勝つことが難しいD1グランプリで鍛え上げられ、見た目は変わらないが、構造や材質などを含めて当時とは別物。ドリフトの世界ではシリーズチャンピオンも含め、何度も栄冠に輝いてきたことがそれを物語っている。

ただ、ステージの異なるタイムアタックシーンではこれまで目立った活動がなく、その実力は未知数なのだ。そこで、2024年5月25日、岡山国際サーキットで開催された「第2回TOYO TIRESプロクセス・ドライビングプレジャー」のなかで、R888Rがどれほどのポテンシャルを持っているか確認するテストが行われた。持ち込まれたのは鈴鹿や富士の国内トップクラスの高速サーキットで最速ホルダーに輝く「フェニックスパワー」の開発8号車(2020年モデル)と、導入して間もない開発10号車(2024年モデル)という2台のR35型「日産GT-R」だ。

1000psを超える国内屈指のチューンドR35GT-Rで実力診断

とくに前者はフェニックスパワーにより1100psオーバーへと仕立てられたフルチューン仕様(後者はブーストアップ仕様で約670ps)。1.7tを軽く超える重量級ボディと相まって、タイヤへの負荷は国産車のなかで間違いなくトップクラスだ。R888Rの実力を知る上ではもってこいの1台だろう。

タイヤもスペックの異なるものを用意。1100ps超の2020年モデルにはD1グランプリで勝利するため、コンパウンドを競技に合わせた特性に変更し、よりグリップ力を高めたR888RスペックDの285/35R20を前後に装着。対するブーストアップ仕様の2024年モデルはスタンダードなR888Rだが、このテストのために北米にラインアップされる315/30R20を用意。これは現在のタイムアタックシーンにおけるトップランカーが幅300mmを超えるタイヤを履くのが常識であることから、このテストのために急遽持ち込まれた。TOYO TIRES開発陣も力が入っている。

ドライバーはブーストアップ仕様がJGTC(全日本GT選手権)のGT300クラスでシリーズ優勝経験もあるベテランの井入宏之選手に、フルチューン仕様はスーパーGTにも参戦する若手有望株の塩津祐介選手にステアリングが委ねられた。果たしてどのような評価を下したのだろうか? 

連続周回でもタイムの落ち込みが最小限。長く楽しめる

まずは、井入宏之選手にPROXES R888Rを装着した車両を試乗していただいた。

「軽量のFFコンパクトスポーツで試したときは、構造的にケース剛性が柔らかいのか、グリップそのものは高いものの、ハイスピードの旋回時にタイヤが倒れてしまい、癖も強かったです。『これは手強いぞ』という印象があったため、さらに馬力も重量もあるR35GT-Rでもどうかな? という疑問を持ちながらコースインしましたが、コンパクトスポーツで感じたヨレも感じることなく、想定以上にマッチングが良かったです。もちろん、クルマとの相性もあると思いますが、いい意味で驚かされたのが第一印象です。

発熱も早く、インラップからしっかりとしたグリップ力が感じられ、すぐにタイムアタックに入れますね。また、ピークグリップからの落ち込みも少なく、ラップタイムの低下も最小限。パワーや重量に負けてフロントが逃げるとか、タイヤが滑り出すこともなく、コントロール下に置きながら10周くらいなら連続周回が可能なフィーリングです。さらに、GT-Rを速く走らせるために求められる縦方向のトラクションも安心感が十分あるので、グリップレベル、耐久性ともに高いと感じました。また、走行後の摩耗、表面剥離が少ないのも美点。路面温度41℃でこの結果なら十分合格点です。

同条件で他のタイヤと比較した訳ではないので詳しいことはいえませんが、R35GT-RとR888Rの組み合わせは相性がいいと言えるでしょう。現時点でこのレベルまできているなら、もう1歩踏み込んだ開発をしてくれれば、と期待。そうなればタイヤ選択は今以上に面白くなるはずです」

と井入選手は語り、好印象だったようだ。

1000psを受け止める高いグリップ力、他銘柄ともいい勝負できる好感触

次に塩津祐介選手には、PROXES R888RスペックDを装着した車両を試乗していただいた。

「表面グリップは相当高いのですが、そのピークは割と短いです。そのあたりはD1グランプリで勝つことに特化したタイヤだと感じました。1回目のアタックはセオリーどおりに走らせると岡山国際の3分の2を走ったところで、熱ダレしましたが、2回目は内圧をやや落としてアウトラップをゆっくりと走り、コース後半からスピードを上げてアタックすると約1周半は強力なグリップが得られました。内圧の上りも早めなので、タイムを出すには距離が長いほど、その特性を理解し、合わせこむことが重要だと思いました。

縦方向のグリップは1000ps級を受け止める余力はあり、サイドウォールは弾力がある印象ですが、横方向も斜めにGがかかった状態でも破綻することもなく、路面を掴んでくれるのでこれはタイヤの特性でしょう。また、ピークから一度落ち込むものの、そこからはずるずるとグリップ力が失われたり、アンダーがどんどんきつくなったりといった特性の変化も少なく、ある程度は一定のレベルで連続して走れる感触はあります。タイヤの摩耗も少なめで、タイムアタックを終えたあとは走行会で楽しめそうです。1000ps級のGT-Rでもきっちりタイムが出せ、合わせこめば他銘柄といい勝負ができる、そんな感触はありました」

と、塩津選手。ちなみにR35GT-Rのベストタイムは、フルチューン仕様の2020年モデルが1分34秒23、ブーストアップ仕様の2024年モデルが1分39秒43。シェイクダウン&気温25℃、路面温度41℃のなかで、これはかなりの好タイム。R888Rは、国産車でトップの重量級ハイパフォーマンスカー、しかも1000ps級のチューンドR35GT-Rのパフォーマンスを受け止めるポテンシャルの高さを見せつけた。

「食わず嫌いは止めてくれ!」というのはプロクセスアンバサダーである木下隆之選手がTOYO TIRESを語るとき、われわれに語るセリフ。今回の結果に新たなサーキットシューズの選択肢に加える実力があると確信した。

モバイルバージョンを終了