レース自体は悪天候で消化不良だったが……
濃霧による長時間の赤旗中断に加え、セーフティカー先導でのゴールと、なんとも消化不良で前代未聞な結末となった2024年のニュルブルクリンク24時間レース。まだまだニュルブルクリンク24時間レースについては全部紹介しきれていませんので、今回は「ニュルのあれこれ」として、レースの裏側の楽しみ方を紹介します。
話題の新型がテストしているのもニュル24時間ならでは
大雨となったにもかかわらず24万人ものファンが詰めかけた2024年のニュルブルクリンク24時間レースですが、さすがニュルファンとも言えるでしょう、大半の皆さんが防水のハイキングシューズや長靴を履き、完全対策済みな装備でした。メディア用の駐車場は舗装されておらず、連日の大雨でぬかるんでいたのですが、大手新聞社の記者は、前輪駆動のクルマで来てぬかるみにハマって脱出することができず、ADAC(ドイツ自動車連盟、日本のJAFにあたる機関)を呼び、引っ張り出してもらったそうです。私の愛車は四輪駆動車なので、問題なくぬかるみから脱出できたのでホッとしました。
ニュルといえば、仮装パーティのような恰好でレースを観に来るファンもいて、そんな皆さんを観ているのも楽しいものです。例年になく寒くて、雨も降っていたこともあり、仮装している人がいつもより少なかったのはちょっと残念。
2024年の秋にワールドプレミアが控えている、「ミニ」のジョン・クーパー・ワークスPROも走行。317号車は赤に各サーキットのコース図がレイアウトされたカモフラージュ柄を身にまといオシャレ。ジョン・クーパーのお孫さんのチャーリー・クーパー氏ら4名がステアリングを握りました。
1964年に開催されたラリー・モンテカルロでの歴史的な総合優勝を果たした際に着けていた37号車をオマージュし、このニュル24時間レースでは317号車を掲げての参戦です。ピットの中もミニの世界でオシャレ! 赤い冷蔵庫にもホイールキャップにもブルドックレーシングのブルちゃんがいましたよ。
また、2024年はフォルクスワーゲン「ゴルフ」が誕生50周年を迎える年。テレビのCMでは初代から現行モデルのゴルフ8までをまとめたものが流れています。その根強い人気は今も続いており、ドイツで売れているクルマNo.1に君臨。量販車のGTIをもとにプライベーターチームが作り上げたレーシングカーはめちゃくちゃカッコ良かったです。レーシングカーも量販したら、日本のスーパー耐久でも欲しいチームが現れそうですね。
給油方法はなんとセルフスタンドと同じ
さてさて、23クラス・約130台ものマシンが参戦したニュルブルクリンク24時間レースですが、じつにユニークなのが給油方法です。なんと、ほかのサーキットにはない「ど普通」なのです。そう、私たちが普段セルフ式のガソリンスタンドで給油するのとほぼ同じ!
フランス「TOTAL」のスーパープラス(日本のハイオクに相当)98オクタンを給油しますが、よくレースシーンで見かけるレーシングカー用の給油ノズルではなく、量販車と同じ形態なんですよ。各給油装置は常時オフィシャルの方がチェックし、何号車がいつ、何L給油したかを紙に記載します。このあたりは恐らく第1回大会から変わらぬアナログ方式なのではないでしょうか。これもニュルの人間味のあるところで私は好きですけどね。
ずいぶん前はレーシングカー専用の給油タンクを使用していた記憶があります。以前はGT3マシンのピットストップに時間制限はなく、その速さを競っていましたが、いまは全クラスで周回数によってピットに留まらなければならない時間が決まっています。複数台が同時にピットインをして給油の奪い合い、というのもなくなりましたし、同じピットのチーム同士がうまく給油のタイミングを話し合っているのもあるでしょうね。
雨、濃霧、ちょっとだけ晴れ、強風、低気温と、6月なのにとんでもない「ニュルウェザー」に翻弄された2024年のニュルブルクリンク24時間レースで、詰めかけたファンも大変だったと思いますが、あらためて24万人という数字には驚きです。2025年はもうちょっと良いお天気であってほしいですね。