よくあるレプリカかと思いきや、実際に日本チームが使用した競技車両
レアな限定車からカスタムカーまで、個性豊かなランドローバー「ディフェンダー」がたくさん並ぶなかでも目立っていたのが、キャメルカラーの「ディフェンダー90」でした。よくあるキャメルトロフィーのレプリカかと思ってオーナーに話を伺ってみると、なんと本物のキャメルトロフィー参加車両とのこと。本物の装備を紹介してもらいました。
キャメルトロフィーで活躍した本物の競技車両
2024年4月20日に埼玉県のサイボク内特設会場で開催された「Defender Collection Owners Meeting」の会場には、約50台の新旧ランドローバー「ディフェンダー」が集結した。そんな中で気になったのが、本格装備を搭載した黄色いディフェンダー90だ。
ディフェンダーは90、110、130インチの3種類のホイールベースがあり、それぞれにステーションワゴンやピックアップといったボディバリエーションが存在する。今回紹介するのは90をベースに本格的な装備を搭載した1台。有名なキャメルトロフィー車両をオマージュしたカスタムだろうと思い、オーナーの張さんに話を伺うと、
「レプリカじゃないですよ、このクルマは1986年のキャメルトロフィーにチームジャパンとして実際に出場した車両なんです!」
レース仕様ならではの興味深いディテールの数々
他にディフェンダー110も所有しているという張さんいわく、この車両は1986年に日本チームが使用した車両そのものだそうで、今から2年前に入手したそうだ。
キャメルトロフィーの参戦車両は基本的にランドローバーから貸与されるが、この個体は1986年のキャメルトロフィー終了後、日本四輪駆動車協会がレース車両をオーストラリアから日本に持ち帰ったことで、日本上陸をはたすことになる。その後保管されていたところからこの個体を張さんが譲り受けることとなったというわけだ。
基本的には市販のディフェンダー90がベースとなっているが、車体後部にロールケージが設置され、屋根には巨大なルーフラックをマウント、さらに助手席足元にはキルスイッチが設置されるなど、競技車両らしいディテールが満載だ。
当時のスタイルを研究し再現&保存するのがライフワーク
入手した際はほとんどの部分が当時のままだったが、さすがに年月が経過していることもあって、ルーフキャリアが腐食していたり、一部当時のディテールが損なわれている箇所があった。そこで張さんは当時の資料や写真を徹底して集め、ディテールを修正していった。例えばルーフキャリアはワンオフで製作されていたが、強度優先で水抜きの穴がなかった。腐食していたのはこれが原因だったのだ。そこで腐食のひどい脚の部分は同形状で新たに作り直している。またキャリア前端とボンネット前端がワイヤーで接続されているが、これも失われていたため、再現したそうだ。
こうして入手してから1年間かけて各部の修理やディテールの再現を行いようやく昨年、現在の姿になった。張さんは今後もレースに出ていた状態をより研究し、当時の再現を進めたいそうだ。