ル・マン24時間レースでのフェラーリの軌跡
2024年6月15~16日に開催となる世界で最も過酷な自動車レースのひとつである「FIA 世界耐久選手権(WEC)2024 第4戦 ル・マン24時間レース」。ここでは当然マシンの速さだけではなく、その耐久性、ドライバー、チームワーク、戦略と総合力が試されます。フェラーリは初参戦の1949年に総合優勝を勝ち取る華々しいデビューを飾ってから、2023年の58年ぶりに優勝に至るまで10回の総合優勝を記録しています。これはポルシェ、アウディに次ぐ3位の記録です。これまでのフェラーリのル・マン24時間耐久レースでの出来事を遡ってみましょう。
世界最古の耐久レースでフェラーリのクラス優勝は29回に及ぶ
世界最古の耐久レースを開催する 「聖地」であるル・マンとフェラーリを結ぶ年表には、歴史に刻まれた日付と数字がある。1949年(フェラーリのデビューイヤー、総合1位)から2023年(ピエール・グイディ=カラード=ジョヴァナッツィが100周年記念大会で表彰台の頂点に立った年)までのフェラーリのクラス優勝は29回に及ぶ。この歴史は、6月15~16日に開催されるFIA WEC 2024第4戦の第92回大会でも引き継がれる。
100周年
フェラーリの熱烈なファンにとっての最も鮮烈な記憶は、昨年のル・マン24時間レース100周年記念大会で、チームメイトのジェームス・カラド、アントニオ・ジョヴィナッツィとともに歴史に名を刻んだアレッサンドロ・ピエール・グイディがドライブするル・マンハイパーカーのゼッケン51が最初にフィニッシュラインを通過したときであろう。この結果、フェラーリは、最後の勝利から半世紀以上におよぶ58年ぶりに耐久トップクラスに復帰し、通算10勝目を挙げた。
驚異的な数字
この勝利は、過去最高の32万5000人の観客が生中継で観戦した342周のレースの末にもたらされた。フェラーリ-AFコルセの全チームに囲まれてピットレーンに再入場する「499P」の写真は、人々の記憶に残るものとなった。そして、レースのスタートを不朽のものとした画像も同様に忘れられない。グリッドの最前列には2台の499Pが並び、ハイパーポールを獲得した50号車はアントニオ・フオコ、ミゲル・モリーナ、ニクラス・ニールセンがドライブし(レース終了時には5位)、その後ろに51号車のチームメイトが続いた。
総合優勝とハイパーポールに加え、2023年のパーフェクトな週末は、フオコ擁するゼッケン50の499Pが記録したベストタイムで締めくくられた(3分27秒218、307周目、平均時速236.7km)。
過去
耐久レースで生まれた跳ね馬の神話は、1940年代後半からル・マン24時間レースに欠かせない要素となっている。1949年にラ・サルト・サーキットでデビューした「166MMバルケッタ・ツーリング」は、ルイジ・チネッティとロード・セルストンのコンビで歴史的な1位を獲得した。象徴的な1995ccの水冷V12気筒エンジンがゼッケン22のマシンに搭載され、その出力は140psに達した。
勝利を繰り返す
1950年代に2度の優勝を飾ったフェラーリは、1960年から1965年にかけて6連勝を飾り、ル・マンにおける伝説を築き上げた。この伝説は1958年と1960〜1961年にラ・サルトの 「女王 」となったフェラーリ「250テスタロッサ」のような象徴的なモデルや、ル・マンにおけるフェラーリの最多勝利記録を保持するオリビエ・ジェンデビアンのようなチャンピオンたちによってもたらされた。実際、1924年生まれのこのベルギー人は、3つの異なる跳ね馬のモデルで4勝(1958年、1960〜1962年)を記録している。
この連勝記録は1965年、ヨッヘン・リントとマステン・グレゴリーがフェラーリ「250LM」を駆り、348周を走破した時点で幕を閉じた。その後、2023年にフェラーリが耐久レースのトップクラスに復帰するまで、ファンは総合優勝を祝うために58年間待たなければならなかった。