とにかく驚きの試乗体験
EVを所有するとどんなカーライフとなるのか? それはオーナーになってみないとわからないことだらけです。そこで、ポルシェ「911」を手放してテスラ「モデル3」を購入してみました。いまや電気自動車メーカーとして代表的な存在となったテスラですが、実際に試乗をすると、そのプロダクトや販売方法は驚きの連続。テスラの魅力をレポートします。
ポルシェを売却してテスラを購入
日本にはEV化の波が押し寄せてきているのか? 日本には素晴らしいハイブリッド技術があるがゆえにフルEV車というと、拒否反応をおこす人々が多くいる。ことテスラに関しては熱狂的な信者がいる一方、否定する人々が多くいるのも事実だ。そこで、これはEV化が進む時代に備え、自分で所有して実体験するしかないとポルシェを売却して「モデル3」を購入した。
なにが人々を熱狂させるのか、なにが一体ダメなのかレポートしていきたい。付け加えさせていただくと、私は環境保護的な社会的正義や排出されるCO2削減を目的にモデル3を買ったわけではなく、単純にプロダクトに関する興味からである。
音のない加速感にノックアウト
テスラを購入するということは、自分のこれまでの自動車の体験や自動車業界の慣習を見直すよい機会になるほど驚きの連続だった。とにかくテスラというクルマを知らなかった私は実車を見てみたいという気持ちに駆られ、公式ウェブサイトから試乗申し込みをしてみた。単純に店舗や時間、モデルを予約するものだったと記憶しているが、店舗に着くと挨拶もそこそこに試乗のプロセスに入る。煩わしいアンケートの記入などのプロセスは一切ない。
駐車場から公道にクルマを出す間にセールスの方からクルマの動かし方や簡単な特徴の説明を受けるが、スタートポイントに着くと「はい、どうぞ!」と、軽い感じで運転席に案内される。「えぇ?」と、恐る恐る走り出すが……。
「いまは道路が空いていて安全なので、ここでちょっとアクセル踏んでみますか?」
などと提案される。あまり普通のディーラーの試乗では聞かない言葉だ。そして、一瞬だがアクセルをベタ踏みにしてその異次元の音のない加速感に完全にノックアウトされてしまうのである。
「あぁ、速い……」
ワンペダル走行のクルマに乗るのが初めてで、アクセルを離すだけで減速していく感覚がなかなかつかめない。早くアクセルを離しすぎてかなりの車間距離をとり停止することが何度かあったが、止まる瞬間の決して「カックン」とならない繊細なブレーキングにも驚いた。かつてショーファーカーのためのドライビングトレーニングを主催していたことがあるが、プロドライバーが何十年もかけて習得するテクニックがテクノロジーの進歩で一瞬のうちに私でも再現できる身近なものになった。
「あぁ、素晴らしい……」