ル・マン24時間レーススタート直前、現地の様子は?
フランスで開催される伝統のル・マン24時間レース。決勝レースが開催される約1週間前から、公開車検が行われるなど街全体はル・マン24時間一色に染まります。ドイツ・ニュルブルクリンク24時間レースが終わってからそのままル・マンへ直行した池ノ内みどりさんが、公開車検の行われたル・マン市の様子をリポートします。
地元フランスのマシンが登場すると大盛り上がり!
ヨーロッパ三大24時間レースのひとつで、フランスの北西部にあるサルトサーキットで開催される「FIA 世界耐久選手権(WEC)2024 第4戦 ル・マン24時間レース」。その歴史は古く、1923年に初開催され2023年に100周年を迎え、32万5000人ものファンとその記念すべき年をサルトサーキットで祝いました。2024年は次の100年へ向けた1歩を歩み出しました。
ル・マン24時間耐久レースのレースウィークは非常に長いのが特徴です。2024年のレース決勝は6月15~16日に開催されるのですが、その約1週間前となる6月7~8日に、ル・マン市内のレプブリック広場にて公開車検が行われます。
瑞々しい新緑と真っ青な空という、さわやかな初夏の気候がきもちいいル・マン市の中心地にあるレプブリック広場が会場。平日にもかかわらず、早朝から公開車検をひと目見ようと、数多くの市民や世界各国から訪れたファンが詰め掛けています。
まだまったくレースは始まっていないというのに、街全体がとんでもない熱気に包まれており、チェッカーフラッグ柄やル・マン24時間レースのポスターなど、モータースポーツをモチーフとしたデコレーションで賑わっています。どれだけこのレースが毎年歓迎されているのかがよくわかります。お店の方々はみなさんとてもフレンドリー! ル・マン市は人口が約14万5000人という中都市ですが、このル・マン24時間レースの日々は、いったい何倍の人で埋め尽くされるのでしょうね。
初日の車検にはプロトン・コンペティションのフォード「マスタングLMGT3」を皮切りに、夕方遅くまでかかって37台が車検を受けました。やはり、2024年にデビューをしたBMW、ランボルギーニはもちろんのこと、やはりここはフランス! アルピーヌとプジョーの地元ブランドは別格に人気がありました。怒号のように「アルピーヌ!」「プジョー!」と叫ぶオジサマたちの声にはビックリ。まるで阪神ファンのおっちゃんみたいです。
街中がル・マン24時間一色に染まりお祭りモード
近くのカフェやレストランで冷たい白ワインやビールを飲みながら、またはお食事をしながらのんびりと車検の様子を見学している方も多くお見かけしました。なかなか優雅でステキですね。車検が開催されているレプブリック広場ではオフィシャルグッズのショップやメリーゴーランドもあり、街をあげての「お祭り」という雰囲気です。
私が宿泊している民泊からトラムの駅までは徒歩で約12分。そこから車検のあるレプブリック広場へは、乗り換えなしで行けます。1日乗車券が1.50ユーロ(約260円)と格安です。しかし、行きにどこかで落としてしまったらしく、帰りにもう1回買うハメに……。ちなみに私が住むミュンヘン市の市内1日乗車券は9.20ユーロ(約1560円)で驚きました。
そのトラムに、とてもオシャレなル・マン24時間レースの案内が、つり革のような掴まるバーに吊り下げてあり、自由に持って帰れるようになっていました。これはとてもナイスアイデアですね。日本でも導入したら観光客などにうまくアピールできるのではないでしょうか。私ももちろん持ち帰りました。ル・マンへは毎年来ているとはいえ、まだまだわからないことだらけです。
車検の開催されているレプブリック広場から宿までには、ル・マン駅を通ります。毎年駅の真正面には、前年の優勝チームの写真が飾られるのですが、2023年はフェラーリが歴史的な総合優勝を遂げましたので、ル・マン駅にはフェラーリのとてもカッコイイ写真が飾られていました。来年もまた、フェラーリですね。そして、2023年同様、ル・マン24時間レース100周年記念ラッピング仕様のトラムが走っていて、100年以上も前から、このフランスの小さな街が自動車文化に大きく貢献し続けていることをあらためて実感したのでした。