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さよならフィアット「500」アバルト「595/695」。いまが新車購入のラストチャンス! そしてEVモデルよ、こんにちは【週刊チンクエチェントVol.39】

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TEXT: 嶋田智之(SHIMADA Tomoyuki)  PHOTO: 嶋田智之(SHIMADA Tomoyuki)/Stellantis N.V.

AT限定免許でドライブすることが可能

実はチンクエチェント博物館では、2021年からクラシック・チンクエチェントの動力源を2気筒エンジンからバッテリー+モーターに換えたコンヴァージョンEVを、日本に上陸させている。イタリアのチンクエチェント・スペシャリストにオーダーして製作させてるのだ。

神戸まで何とか自走していったゴブジ号が結局はゴブジではなく、帰路に名古屋の博物館に預かってもらい、そこから静岡のスティルベーシックに積車で運ばれていった2021年の10月半ば頃。僕は前年のプロトタイプに続き、“フィアット500ev”のプロダクトモデル第1号をテストする機会に恵まれた。

内外装は基本、オリジナルのチンクエチェントのまま。モーターは10kW(13.6ps)とパワーこそ控えめだけど、モーター特有の強力なトルクがあるから、オリジナル・チンクエチェントの比じゃなく力強い走りを味わわせてくれる。内燃機関のオリジナル・チンクエチェントはショートめの1速から2速、3速とつないでスピードに乗るまでがちょっとばかりじれったいのだけど、この500evはじれったさがゼロ。きわめて滑らかに力強く加速し、実に心地よく走ることができる。しかも、である。AT限定免許でドライブすることが可能なのだ。

おもしろいことにオプションも豊富で、電子仕掛けのメーターや走行モード切り替えシステム、Bluetoothを使ったオーディオシステム、キーレスエントリーなどなど現代的な諸々も用意されてたりもする。まぁいうなればオートクチュールみたいなもので、完全なる自分仕様に仕立ててもらうことができるわけだ。

コンヴァージョンEVゆえに航続距離はおよそ100kmと短いし、充電時間は家庭用200Vで約9時間と結構長いのだけど、買い物だったり送り迎えだったり友達の家に遊びに行くのだったりという日常的な暮らしの範囲で走らせるにはこと足りるレベルにあると思う。

乗り味? いや、車重が640kgとオリジナル・チンクエチェントより100kg前後ほど重いことが効いて重厚感のようなものが感じられるところはあるのだけど、それでも不思議と“やっぱりチンクエチェントはチンクエチェントだ”って感じてしまうほどに“らしい”フィーリング。クラシック・チンクエチェントならではのルックスや存在感から来る独特の雰囲気と、バッテリーEVならではの滑らかさと力強さ、そして“らしい”乗り味。何だかとっても幸せな気持ちにさせてくれる電気自動車なのだ。

たしかに価格的な面からいうなら贅沢といえば贅沢なシティコミューターということになるのだろうけど、唯一無二の存在であることを考えると、だいぶ魅力的な存在であるのも間違いない。興味を持った人はぜひともホームページにアクセスして、詳細をチェックしてみることをオススメしておこう。

それにしても……内燃エンジンを積んだ新車とユーストカー、メーカー謹製のバッテリーEV、趣味人がスペシャリストに作らせるコンヴァージョンEVと、選択肢はたくさん。同じ世界観を持った同じ名前のクルマで、ここまで選択肢が豊富なモデルってほかにある?

そう考えると、フィアット500ってやっぱり偉大なクルマなんだな、という気持ちがさらに強くなってくるじゃないか。

■協力:チンクエチェント博物館
https://museo500.com

■「週刊チンクエチェント」連載記事一覧はこちら

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  • 嶋田智之(SHIMADA Tomoyuki)
  • 嶋田智之(SHIMADA Tomoyuki)
  • 『Tipo』の編集長を長く務め、スーパーカー雑誌の『ROSSO』やフェラーリ専門誌『Scuderia』の総編集長を歴任した後に独立。クルマとヒトを柱に据え、2011年からフリーランスのライター、エディターとして活動を開始。自動車専門誌、一般誌、Webなどに寄稿するとともに、イベントやラジオ番組などではトークのゲストとして、クルマの楽しさを、ときにマニアックに、ときに解りやすく語る。走らせたことのある車種の多さでは自動車メディア業界でも屈指の存在であり、また欧州を中心とした海外取材の経験も豊富。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員
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