父の乗っていた憧れのガゼールを20年探して手に入れた物語
日産S110型「シルビア」の兄弟車が「ガゼール」だったことをご存知でしょうか。そんなガゼールのターボモデルを20年もの間探し求め、ついに手に入れることができたオーナーの猿谷さんの愛車を紹介します。彼が中学生の頃から憧れていたモデルとはどのようなクルマなのでしょうか。
中学生の頃に将来乗ると決めて探し続けた
毎月第3日曜日の早朝に東京の奥多摩湖に集まる旧車たち。そんな奥多摩の駐車場で出会った気になる1台にフォーカス。今回は日産S110型「シルビア」の兄弟車、「ガゼール」のターボモデルを紹介しよう。
以前に紹介した本間さんのガゼールRSの隣に並んでいたのが猿谷さんの1981年式ガゼールハッチバックだ。これはZ18ターボエンジンを搭載したガゼールターボXEハッチバックというグレード。ハードトップのRSとは異なるディテールを持つ。
「このクルマは今から10年ほど前に念願叶って手に入れました。じつは子どもの頃に父が乗っていたので、中学生の頃に将来絶対乗るって決めてずっと探していたんです。でもガゼールって当時は暴走族によく屋根を切られちゃうクルマだったみたいで(笑)、良い個体が残ってないんですよね。ハッチバックのマニュアルに絞ってずっと探していたんですが、なかなか良い状態の個体に出会えなくって。なんせ、このクルマに行き当てるまで20年かかりましたからね」
ハッチバックならではの当時最新のディテールが満載
さて、ちょうど隣に本間さんのハードトップが並んでいるということで、お2人に違いを説明してもらった。S110型シルビア/ガゼールは、ハードトップに加えて3ドアハッチバックをラインアップする。このハッチバックモデルは、北米仕様と同様の大型バンパーを装着しているのが大きな特徴だそう。そしてもうひとつ、猿谷さんが教えてくれた。
「ハッチバックは日本初のワンアームワイパーが採用されるんです。ベンツみたいに複雑な動きはせず、普通に扇型に動くのみなんですが、当時としては画期的だったみたいですね。ベンツに比べると拭く面積が少ないので若干困るんですが、おおむね満足できます」
ちなみにガゼールはZ18とZ20のNAのみのラインアップでスタートし、その後、1980年にXEターボ、1982年にRSが追加されるのはハードトップ、ハッチバック共通だそう。
ボンネット先端のエンブレムは中3の時に入手していたもの
フロントバンパーの樹脂部分に貼られたBMW「2002ターボ」を彷彿させる鏡文字の「TURBO」ステッカーは、当時のオプション。そしてホイールはワタナベでオーダーした特殊サイズの8スポーク。さらにブラックタイプのナルディステアリングを装着している。逆にそれ以外は基本的にノーマル状態をキープしているという。
やはり一番苦労するのは部品の確保だそうで、機能部品はもちろん、ボディ関連のパーツもかなり入手が難しくなっているそうだ。
ちなみにフロントフード前端につくGAZELLEエンブレムは色も抜けておらずかなり状態が良いが、これは猿谷さんが将来ガゼールに乗ると決めた中学3年生の時に、ディーラーに行って真っ先に入手しておいたものなのだとか。こうした努力とクラブメンバーの繋がりで旧車ライフを楽しんでいるというわけだ。