決勝レースの様子
63号車(ボルトロッティ/クビアト/モルタラ)
天候が変わりやすいという予報が出ていたため、レース序盤はタイヤ戦略が重要な課題となっていた。スタートして2時間後、予報されていた雨がサーキットに降り、上位のいくつかのクルーはウエットタイヤへの交換を決断。雨は通り過ぎると確信していた63号車はスリックタイヤを履き続け、ボルトロッティは19号車の SC63の後方で5位まで順位を上げた。クビアトはアウトラップのダンロップシケインでスピンを喫したが、マシンを修復してトップ15圏内を維持することができた。
夜が更けるにつれて雨が降り出し、4時間にわたってセーフティカーが導入されるほどの難しいコンディションになる。日曜日の朝7時頃にレースが再開されると、63号車はプジョーの2台とポイント圏内で戦略的な争いを続け、終盤には経験豊富なブランドとの戦いに持ち込む安定したレースペースを見せた。雨が再び降り出し、その後雨脚が強まったため、ウエットに交換した63号車は、最後の1時間で10位まで順位を上げ、ランボルギーニにとって今シーズン初のドライバーズポイントを獲得した。
19号車(カイローリ/カルダレッリ/グロージャン)
カルダレッリがスタートした19号車は、オープニングラップでトラブルに巻き込まれることなく、雨に降られることもなく、次第に厳しくなるコンディションに見事に対処できた。63号車と同様、ピットストップ後のニュータイヤでのタイヤマネージメントがとくに難しく、カイローリはテルトル・ルージュでマシンをスピンさせてグラベルに突っ込み、辛うじてバリアーを避けて走行を続行。その後カルダレッリに代わってグロージャンが3スティントを走行した。
大きな問題はなかったものの、マシンのライトに問題があったため、チームはいくつかのピットストップでフロントノーズとリアのボディワーク交換を余儀なくされ、さらにリアウイングの破損と2度のドライブスルーペナルティが19号車のポイント獲得の妨げになった。それにもかかわらず、カルダレッリは2位のプジョーからわずか21秒差でマシンを戻し、マシンの性能の高さを証明した。19号車は、来週末にワトキンス・グレンで開催されるIMSAウェザーテック・スポーツカー・チャンピオンシップ第3戦に照準を合わせている。
AMWノミカタ
今年のル・マンは、トヨタの復活か、フェラーリの2連覇か、最後の最後まで目の離せない展開が続いたとてもおもしろいレースだったと思う。ランボルギーニSC63は初参戦で10位と13位を獲得し、上位チームに絡むことはできなかったが、2台とも完走し、ファンを喜ばせたのではないだろうか。
ダニール・クビアト選手が
「シーズン開幕以来、チームが積み重ねてきたハードワークが報われました。次のステップが非常に重要ですが、アップグレードなしの新車でこの結果を出せたということは、我々の強さを示していますし、将来的には勝利を目指して戦えるようになるでしょう」
と語るように、レース後のドライバーのコメントは皆とてもポジティブで、チームにとっても成績以上に良い経験になっているのだと感じた。今後のIMSAウェザーテック・スポーツカー・チャンピオンシップや来年のル・マンでのランボルギーニの勇姿をぜひ期待したい。