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愛人はダメだけど愛車なら怒られないから、もっと知りたいと思うクルマがあると購入しちゃう。車のユーザーレビューがあってもいいじゃない【KEEP ON RACING】

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TEXT: 太田哲也(OTA Tetsuya)  PHOTO: 太田哲也(OTA Tetsuya)/横澤靖弘(YOKOSAWA Yasuhiro)

  • 試乗会でチョイ乗りして、そのクルマの性能を知ることはできるけれど、普段遣いするユーザー目線では語れることが少ない
  • 試乗会での開発者や関係者による新車の情報は、リリースには書いてないことも聞くこともできてとても重要
  • もともとレーシングドライバーだったこともあり、サーキットでクルマを試すことができると、より車の素性がわかるよね
  • 試乗会で試乗するのは、最新モデルだけとは限らない。歴代モデルをあらためて触れる機会もある
  • フェラーリ ディーノ:現在の太田哲也さんの愛車の1台
  • ルノー トゥインゴ:現在の太田哲也さんの愛車の1台
  • アルファ ロメオ ジュリア:現在の太田哲也さんの愛車の1台
  • ジープ コンパス:現在の太田哲也さんの愛車の1台
  • アバルト595:現在の太田哲也さんの愛車の1台
  • アルピーヌA110:現在の太田哲也さんの愛車の1台
  • アルファ ロメオ 4C:現在の太田哲也さんの愛車の1台
  • TEZZO BASEの所在地は、神奈川県横浜市都筑区荏田東2-9-1
  • 短時間の試乗では、その車を所有したときにどんな生活が待っているのか、そこまで考察することはできない

チョイ乗りではわからないクルマのことを伝えよう

KEEP ON RACING連載2回目の今回は、当コラムの立ち位置を表明しようと思う。この連載は太田哲也によるクルマのユーザーレポートである。レポートは必ずしも自分のクルマに限定しないが、その場合も試乗会などでのチョイ乗りではなく、長期に使ってみて、自分の愛車だったらどうだろうという観点からレポートしたい。自動車評論家としてではなく、あくまでもオーナー目線で。なぜ、そう思ったのか、そこから説明しよう。

ユーザーレビューが購入の決め手

僕はよくamazonで買い物をする。amazonからの「こんなのどうですか?」という感じで提案してくる商法にまんまと引っかかって、amazonでの買い物率は極めて高い。新聞や雑誌などで本や文房具、家電などが気になるとすぐにamazonのレビューを見る。そして、購入の決め手はいつも「ユーザーレビュー」。良い面も悪い面も知りたい。とくに長めにレビューしている人と価値観が共有できそうだったら、その場でポチッ。

では、クルマの場合はどうだろう。さすがにamazonにレビューはない。自動車雑誌などで試乗記はあるけど、よい面は書かれているけど、悪い面はあまり書かれていない。多くの読者も、試乗記を読んでそれが真実だとは思っていないのではないか。

僕自身、モータージャーナリストとして試乗会に行って、わずか2時間くらい乗って記事を書くこともあるけど、何か「違うなあ」と思うことがある。確かに専門家だから短い試乗でもエンジンや車両の運動特性はわかるけど、日常的な使い勝手やオーナーとしての気分まではわからない。

評論家の目でここが良いとか、ここがダメとかの指摘はできるが、オーナーになるとちょっとしたことが気になるものだ。例えばドリンクホルダーの位置とかスイッチの操作性とか……。

そういう意味で、クルマのユーザーレビューの役割をしたいと考えている。

なぜ愛車が増えていくか

「何台あっても一度に乗れるわけでもないのに、なぜ複数台も所有するのか」という話をしよう。僕は試乗会では、評論家としての目ではなく、もし自分がこのクルマを所有したらどんな生活や未来が開けるか、という観点で見る。なぜならその方が楽しいから。短時間の試乗で共感したクルマは、もっと深く知りたいと思う。すると、そのクルマが欲しくなる。それが愛車が増えていく原因のひとつだ。

モータージャーナリストをやっていると、大抵のクルマを無償で乗ることができる。もちろん記事を書くためなんだけど、中には自分のクルマは所有せず、広報車を乗り換えて普段の足としている(?)猛者もいるくらい。もちろんそれで日常の使い勝手をレポートすることができる訳なんだけど……。

でもそれと実際に愛車にして乗るのとは、180度くらい違う行為だと思う。愛人を作ったら怒られるけど、愛車を増やしてもそんなに怒られないからいいよね。

* * *

次回は愛人、ではなくて愛車の一台であるルノー・アルピーヌ「A110」のレビューから始めようと思う。当初はいろいろとあったのだけれど、現在は落ち着いてきて通勤に使っているクルマだ。ではこうご期待。

>>>太田哲也さんの連載「KEEP ON RACING」はこちら

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  • 太田哲也(OTA Tetsuya)
  • 太田哲也(OTA Tetsuya)
  • 1959年11月6日生まれ。モータージャーナリスト/元プロフェッショナルレーシングドライバー。1986年から当時のトップ・フォーミュラであったF3000やグラチャンに6シーズン出場。マツダのワークスドライバーにも抜擢され、プロトタイプカーのグループCカーによる国内レース出場及び海外テストを担当。ル・マン総合優勝車となるマツダ787Bなどをドライブした経験も持つ。その後GTレースに転向し、イタリアのフェラーリ準ワークスなどから4年連続でル・マン24時間レースにフェラーリF40GTEで出場。同時期に全日本GT選手権などでもフェラーリF40やF355で優勝するなど「日本一のフェラーリ遣い」の異名を取った。50代からは実業家にも転身、チューニング・ブランド「TEZZO」をプロデュース。著書『クラッシュ〜絶望を希望に変える瞬間』『リバース〜クラッシュ2魂の戻る場所』(共に幻冬舎)はベストセラーとなり映画化もされた。2024年度カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
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