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愛人はダメだけど愛車なら怒られないから、もっと知りたいと思うクルマがあると購入しちゃう。車のユーザーレビューがあってもいいじゃない【KEEP ON RACING】

短時間の試乗では、その車を所有したときにどんな生活が待っているのか、そこまで考察することはできない

チョイ乗りではわからないクルマのことを伝えよう

KEEP ON RACING連載2回目の今回は、当コラムの立ち位置を表明しようと思う。この連載は太田哲也によるクルマのユーザーレポートである。レポートは必ずしも自分のクルマに限定しないが、その場合も試乗会などでのチョイ乗りではなく、長期に使ってみて、自分の愛車だったらどうだろうという観点からレポートしたい。自動車評論家としてではなく、あくまでもオーナー目線で。なぜ、そう思ったのか、そこから説明しよう。

ユーザーレビューが購入の決め手

僕はよくamazonで買い物をする。amazonからの「こんなのどうですか?」という感じで提案してくる商法にまんまと引っかかって、amazonでの買い物率は極めて高い。新聞や雑誌などで本や文房具、家電などが気になるとすぐにamazonのレビューを見る。そして、購入の決め手はいつも「ユーザーレビュー」。良い面も悪い面も知りたい。とくに長めにレビューしている人と価値観が共有できそうだったら、その場でポチッ。

では、クルマの場合はどうだろう。さすがにamazonにレビューはない。自動車雑誌などで試乗記はあるけど、よい面は書かれているけど、悪い面はあまり書かれていない。多くの読者も、試乗記を読んでそれが真実だとは思っていないのではないか。

僕自身、モータージャーナリストとして試乗会に行って、わずか2時間くらい乗って記事を書くこともあるけど、何か「違うなあ」と思うことがある。確かに専門家だから短い試乗でもエンジンや車両の運動特性はわかるけど、日常的な使い勝手やオーナーとしての気分まではわからない。

評論家の目でここが良いとか、ここがダメとかの指摘はできるが、オーナーになるとちょっとしたことが気になるものだ。例えばドリンクホルダーの位置とかスイッチの操作性とか……。

そういう意味で、クルマのユーザーレビューの役割をしたいと考えている。

なぜ愛車が増えていくか

「何台あっても一度に乗れるわけでもないのに、なぜ複数台も所有するのか」という話をしよう。僕は試乗会では、評論家としての目ではなく、もし自分がこのクルマを所有したらどんな生活や未来が開けるか、という観点で見る。なぜならその方が楽しいから。短時間の試乗で共感したクルマは、もっと深く知りたいと思う。すると、そのクルマが欲しくなる。それが愛車が増えていく原因のひとつだ。

モータージャーナリストをやっていると、大抵のクルマを無償で乗ることができる。もちろん記事を書くためなんだけど、中には自分のクルマは所有せず、広報車を乗り換えて普段の足としている(?)猛者もいるくらい。もちろんそれで日常の使い勝手をレポートすることができる訳なんだけど……。

でもそれと実際に愛車にして乗るのとは、180度くらい違う行為だと思う。愛人を作ったら怒られるけど、愛車を増やしてもそんなに怒られないからいいよね。

* * *

次回は愛人、ではなくて愛車の一台であるルノー・アルピーヌ「A110」のレビューから始めようと思う。当初はいろいろとあったのだけれど、現在は落ち着いてきて通勤に使っているクルマだ。ではこうご期待。

>>>太田哲也さんの連載「KEEP ON RACING」はこちら

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