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なんとフォード「シエラRS500コスワース」が約3780万円で落札! 高額の理由はノンレストア、低走行、温度管理されたガレージ保管だったから

なんとフォード「シエラRS500コスワース」が約3780万円で落札! 高額の理由はノンレストア、低走行、温度管理されたガレージ保管だったから

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TEXT: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  PHOTO: Iconic Auctioneers

特別なRS500のなかでも、さらに特別な1台

このほどアイコニック・オークショネアーズ社の定例オークションに出品されたのは、1987年8月6日にティックフォード社からグロスター州チェルトナムの「ブリストル・ストリート・モーターズ」社にデリバリーされた、1987年式のフォード シエラRS500コスワース。500台が限定生産されたうちの433台目で、ボディカラーはダイヤモンド・ホワイトである。

この個体は、初代オーナーに引き渡された直後に「E100 GFH」として登録され、そののち今回のオークション出品者である現オーナーのもとで、「E433 COS」にナンバー変更された。

2007年、現オーナーは自らのコレクションに加えるために、最高のRS500を探し出して購入することを決心。数カ月にもおよぶリサーチと適切な人脈を経て、彼はこのNo.433を見つけだし、当時RS500の史上最高額で購入したとのことである。

生産から37年を経ていながら、現在に至るまでペイントは無傷で、何年も手を加えられた形跡がなく、すべてオリジナルと思われる。インテリアもほかのRS500とは一線を画しており、温度管理されたガレージで特注ボディカバーをかけて過ごしてきた恩恵を十分に享受している。

またダッシュボードやシフトノブ、ステアリングホイールを保護している特注のカバーは、この個体がいかに大切にされてきたかを示す。いっぽうメカニカルな面では、このモデルではありがちな改造が施された経歴は一度もなく、新旧のオリジナル仕様のエキゾーストを除き、すべてのオリジナルパーツを保持している。

くわえて、古いクルマの判定材料として重要なヒストリーファイルはよく整理されており、走行距離9167マイル(約1万4700km)までのスタンプが押されたサービスブック、パーツおよびメンテナンスのための大量の請求書、新車からのほぼすべてのMOT車検証が年代順に記載されており、この個体の表示走行距離の少なさを裏付けている。

オークション公式カタログ作成時点での走行距離は、わずか1万2805マイル(約2万500km)と、ごくわずかしか使用されていないにもかかわらず、このRS500は定期的な点検・整備、細部のチェックを受け続けており、そのうちの2回はカムベルトの交換を含め、主に現オーナーの手によるものである。

フラットスポットができないようパッド入りマットの上で保管する徹底ぶり

彼のオリジナリティに対する完璧主義者的なこだわりは、愛車を常にパッド入りのマットの上に保管し、不動のタイヤにフラットスポットができることがないようにしていることからもうかがい知ることができる。

No.433は完全なノンレストアながら、完璧なコンディションを保っている。愛情を込めてカーショーやイベントに持ち込まれ、数多くの賞も獲得している。アイコニック側では完璧に走り、純粋で手つかずの、新車として作られた時代そのままのフィーリングを備えているという自信を露わにしていた。

またスペアホイールは新品で、英国フォード純正のファーストエイドキットやワークショップマニュアル、ブリストル・ストリート・モーターズのケースに収められたオーナーズマニュアル、箱入りの純正フォグランプ、ディスク型の納税証明ホルダー、オリジナルの純正カーマット。さらには特注ボディカバーとダッシュカバー、オリジナルのエキゾーストとタイヤなどもすべて、オークションの落札者に引き渡されることになっていた。

特別中の特別モデルゆえの高額相場

アイコニック・オークショネアーズでは、旧屋号の「シルヴァーストーン・オークション」を名乗っていた時代から、総計30台以上のRS500を市場に送り出してきたそうだが、このNo.433はそのなかでも最高の1台とのこと。その自信とともに、16万ポンド~19万ポンドという、もとより価格高騰中のRS500の中にあってもハイエンドに属する高額のエスティメート(推定落札価格)を設定した。

そして迎えた競売では、エスティメート上限まであと一歩の18万9000英ポンド、日本円に換算すれば約3780万円で落札されることになったのだ。

ちなみに、英国のカーマニアが愛してやまないフォードのパフォーマンスモデルのなかにあって、「エボ」ではない通常のシエラRSコスワースは5~6万ポンド、4ドアサルーン版の「RSコスワース サファイア」であれば3万ポンド前後というのが大方の相場価格であるのに対し、RS500は比較的安価なものでも10万ポンド前後で売買される超人気モデル。なかでも、今回の個体は特別中の特別ということだったのであろう。

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  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 1967年生まれ。かつてロールス・ロイス/ベントレー、フェラーリの日本総代理店だったコーンズ&カンパニー・リミテッド(現コーンズ・モーターズ)で営業・広報を務めたのちイタリアに渡る。帰国後は旧ブガッティ社日本事務所、都内のクラシックカー専門店などでの勤務を経て、2001年以降は自動車ライターおよび翻訳者として活動中。また「東京コンクール・デレガンス」「浅間ヒルクライム」などの自動車イベントでも立ち上げの段階から関与したほか、自動車博物館「ワクイミュージアム(埼玉県加須市)」では2008年の開館からキュレーションを担当している。
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