ポールポジションを決める30分の戦い
ドイツ在中でモータースポーツを取材する池ノ内みどりさん。伝統のル・マン24時間レースを2024年も取材しました。決勝は6月16日に無事フィニッシュを迎えましたが、今回は予選後にポールポジションを決定する「ハイパーポール」と呼ばれる30分の戦いを改めてレポート。手に汗握る展開が繰り広げられました!
ハイパーポールではドラマがありました
爽やかな初夏のような気候だったル・マン。晴れるととてもカラリと乾燥した暑さは、日本の梅雨どきのようなじめじめした暑さとは違うのですが、まだ湿気がないだけ過ごしやすく、木陰に入るととても涼しく過ごせました。
予選が行われた翌日には、ポールポジションを決定するハイパーポールが行われました。世界的に有名かつ伝統のあるル・マン24時間レースでポールポジションを獲得するというのは大変名誉で特別なことです。
ハイパーカークラス、LMP2、そしてLMGT3の各3クラスから、予選の上位8台がハイパーポールへ参加する権利が与えられます。2023年までは常連だったTOYOTA GAZOO Racingの2台は、残念ながらハイパーカークラスのハイパーポールへ進出ならず。15号車のBMW、ワークスのキャデラックが2台、ワークスの赤いフェラーリが2台、ポルシェはプライベーターのJotaとワークスのペンスキーポルシェのそれぞれ1台ずつ、アルピーヌが1台というなかなか興味深いミックスです。トヨタとプジョーが1台も入っていなかったのが意外でした。
LMP2クラスにクールレーシングから参戦する宮田莉朋選手は、クラス1番手で予選1を通過。LMGT3クラスではコルベットで参戦する小泉洋史選手らが3番手、アストンマーティンの星野 敏選手らが8番手でハイパーポールへの進出を決めました。
全62台を率いるトップスタートポジションをかけて、30分のタイムアタックです。ハイパーカーでは大体1周が3分24~27分程ですので、アウトラップを含めるとアタックできる時間はわずか。手に汗握る30分となりました。
1番に出走していたハイパーカーのBMWが残り7分少々を残したところで、まさかのクラッシュにより赤旗でセッション中断。それまでトップを走っていたキャデラックがポールポジションかと思いきや、最後の最後に6号車のケヴィン・エストレ/アンドレ・ロッテラー/ラウレンス・ファントーア組のポルシェが最速タイムを記録し、101年目のポールポジションを獲得。ちなみにクラッシュした15号車BMWをドライブしていたのは、6号車をドライブしたラウレンスの弟、デリースだったのです。兄弟で運命が分かれてしまいました。
なお、宮田莉朋選手もドライブしたクールレーシングの37号車はクラス6番手、小泉洋史選手がドライブする82号車はクラス7番手、星野 敏選手らがドライブする777号車はクラス6番手でハイパーポールを終えました。
会場にはセレブなアイテムも多数!
セッションの合間の時間に取材をしたり、久々に会った人たちと立ち話をしたりと、忙しくも楽しい時間でした。その合間に懲りもせずにショップを回ったり。
ル・マン限定Tシャツ、やはり発売されていました! ポルシェ963とコルベット。私がもっとも買いたいのはポルシェのTシャツなのですが、お店に入るまでも大行列。小さなコンテナを活用したショップですから入場制限をしていたのでした。
やっと順番が回ってきて、手に取って値札をチラっと見ると、なんと60ユーロ(約1万300円)もするではありませんか。超庶民にはTシャツに1万円超えはなかなか勇気のあるお買い物。せっかく行列に並んだのに手ぶらで出てきてしまいました……。でもショップの前でポルシェのエコバッグを配布していて、エコバッグを集めている私にはむしろこっちの方が嬉しかったりします。
以前はエルメスのショップもあり、ル・マン24hをモチーフにしたネクタイが販売されていたのですが、いつの間にかショップはなくなっていました。しかし、ロレックスはいまも健在で、時計の職人さんが常駐。サーキットでも安心して調整やリペアをしてもらえます。
素晴らしい商品が飾られたショーケースにもやはり目がいってしまいます。私が1万円のTシャツを悩んでいる一方で、サーキットハイでロレックスの時計を、「まぁいいか!」とポーンと購入するセレブの方々がいるのはすごいことですよね。私のクレジットカード限度額ではとてもじゃないですが、購入することはできません。ロレックスのスタッフは、私のような庶民にも大変フレンドリーかつ丁寧に接してくれましたが、イヤな汗をかきました。このような場所は、品格と財力を備えた選ばれし方のためだと痛感したのでした。