タービン交換のフルチューン仕様
上久保さんの愛車は1982年式のHS130フェアレディZだ。エンジンはL28改3.0LというL型エンジン定番の仕様で乗っていたそうだ。もちろん、そのままでも良かったが、ちょうどエンジンオーバーホールのタイミングで、トラブルが少なく、メンテナンスもラクでパワーを稼ぎ出しやすい仕様としてRB25DETTの搭載を決意。タービン交換のフルチューン仕様に改造して楽しんでいた。
このエンジン換装に伴って、他にもグレードアップチューンをすべく、トランスミッションはZ33用6速を移植し、デフは機械式R200に交換、そして、サスペンションはフロントがS13シルビア用で、リアはR32 GT-R用をメンバーごと移植してマルチリンク化するというとんでもない流用チューンを施していた。また、プレーキもパワーアップに伴って強化し、フロントはポルシェ6ポットブレンボキャリパーに、リアはR35 GT-Rブレンボキャリパーを組み合わせてセット。ローター径も大幅拡大の355mmローターをセットしている。
また、今から3年ほど前になるが、搭載したRB25DETTエンジンもだいぶヘタッてきたことから、より排気量アップを狙って輸出用シングルカムのエンジンRB30DEの腰下にRB26DETTヘッドを組み合わせRB30DETT化エンジンを搭載。最大排気量のRBユニットにシングルターボGT2835Rタービンをセットして、さらなるパワーアップも達成し、ゆとりの走りを満喫できるように仕上げてある。
Zらしさを残しながらもスーパーマシンとしての存在感を発揮する仕様
中身もかなりイジってあるこの130フェアレディZは、見ての通り外観もスペシャルな作り込み。そのエクステリアは、自分が考えるスポーツカーの理想像を求め、知り合いのFRP職人にお願いしてワンオフボディを製作。その内容はアイデア満載で、フロントは昔懐かしのエバ製130フェアレディ用GノーズキットをベースにサイドダクトをLFA風にアレンジし、ウインカーにはRX-8後期用を流用しセット。また、そのままではシンプルすぎる見た目も、あえてプレスラインを強調するデザインを採用し、そのラインはサイドからリアへと繋げ、片側10cmオーバーのブリスターフェンダーをより強調するデザインとしているのもポイントだ。
上久保さんは世代的にもオーバーフェンダーよりもブリスターフェンダーに憧れを抱く時代を楽しんだクルマ好き。愛車である130フェアレディZの造形作りには特にこだわって、前後のダクトも含めてZらしさを残しながらもスーパーマシンとしての存在感を発揮する仕様にしている。
特にこだわりのブリスターフェンダーに関しては、リアから見た時の存在感が凄まじく、どっしりと構えたフォルムが何よりも特別仕様であることを主張。それに輪をかけ、アンダー部にセットしたディフューザーの視覚的な効果も効いている。
また、内装もオールレッド仕上げの凝った作りに注目。メーターはすべてDefi製に交換し、センターコンソールも製作し、オーディオだけでなく、セッティング時に必要なパワーFCのコマンダーをスマートにセットできるようにしている。
スポーツカーとして上久保さんの考える理想の130フェアレディZの追求は、これで終わったわけではない。じつはまだまだたくさんやりたいことがあって、この先のことも考えている。現在52歳、上久保さんは、きっとこのまま還暦を迎えても、この愛車に乗り続け、カスタムを楽しみ、いろいろなアイデアを出してクルマいじりを楽しむ人生を歩むのだろうと、話しながら強く感じたのだった。
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