コンパクトなFRスポーツセダンとして再評価されている
「コンパクトなボディでFRレイアウトのセダン」として開発が進められたトヨタ「アルテッツァ」。「プログレ」や「ブレビス」とプラットフォームを共有していたこともあり、セダンとハッチバックがラインアップされていました。ここ数年、ジワジワと価格高騰している同車を振り返ります。
いま見ると魅力的なスポーツセダン
トヨタの新たなスポーツセダンとして1998年10月に発売された「アルテッツァ」。ほぼ5ナンバーサイズのコンパクトなボディにFRレイアウトを持つモデルとして、登場前から自動車メディアの間でも話題となり、いつしか「AE86の再来」として期待されるようになっていた。
2ドアのスポーツクーペ&3ドアハッチバックとして企画されていた4代目「カローラレビン/スプリンタートレノ」(AE86)と4ドアスポーツセダンのアルテッツァとでは、そもそものキャラクターが違いすぎたため、登場後は期待はずれという声もあった。しかし現在では、再びコンパクトなFRスポーツセダンとして再び評価されつつある。
高い期待をもってリリースされたアルテッツァは、スポーティさを前面に押し出した「RS」系と、6気筒エンジンを搭載して大人のスポーツセダンとした「AS」系が用意された。
前者にはNAの2Lエンジンながら210psを叩き出す、直列4気筒の3S-GE型エンジンが搭載され、トランスミッションには6速MTも用意された。一方、後者には同じく2Lながら、直列6気筒の1G-FE型エンジンが搭載され、4速ATのみの組み合わせとなってキャラクターの違いを明らかにしていたのだった(AS系にものちに6速MTが追加されるが)。
2001年にはシューティングブレークも追加
そんなアルテッツァは日本国外ではトヨタの高級ブランドであるレクサスから「レクサスIS」として販売されていた。アルテッツァに搭載されていた4気筒の3S-GE型を搭載するグレードはなく、代わりに3Lの2JZ-GE型を搭載するグレードが用意されるなど、ラインアップに違いが存在していた。
のちに日本のアルテッツァにも、レクサスISに近いクオリティを持った上級仕様の「Lエディション」が設定されたが、3Lエンジンがセダンモデルに設定されることはなかった。
なお2001年7月には車体後部をワゴンとしたシューティングブレークの「アルテッツァジータ」を追加。こちらはレクサスISと同じく6気筒エンジンのみのラインアップとなり、1G-FE型のほか、2JZ-GE型も搭載された。
ちなみにアルテッツァはディーラーで購入できるコンプリートカーの先駆けともなっており、デビュー年の1998年には早くもトムスがターボチューンを施した「280T」がリリースされたほか、1999年には当時のモデリスタがエアロチューンを手がけた「クオリタート」などのモデルもリリースされている。
当時は期待値が高すぎたが故にガッカリされることの多かったアルテッツァではあるが、色眼鏡なしに見てみれば魅力的なスポーツセダンであることは間違いなく、近年の価格上昇も納得の1台と言えそうだ。