痛車同士の競い合いによって、よりハイレベルなアートに進化
ツインターボが走りに対して特にどん欲なキャラということで、“とともふ”さんが愛車に描くデザインもスピード感を意識している。その表現法は、運転席側は追い越し時にキャラクターが全力で走り抜けていくスピード感あふれる姿を描き、助手席側は停車時にキャラクターを見てもらうために、走っているが少しゆるめに流している感じを表現する。
また、C6コルベットの特徴であるボンネットは、通常は120cmのラッピングシートを使って貼り合わせるスタイルが一般的だが、“とともふ”さんは1枚物のデザインにこだわり、その特別な施工ができる東京都のショップ「ディバイド」に依頼。実際の貼り込みラッピング作業は2日間だったが、デザインの打ち合わせから修正までも含めると、その間、約3カ月ほどかかった渾身の力作だった。
痛車は「魅せること」が大事な要素だけに、「デザイン」という工程は通常のカスタムに用いられるパーツと同様に要となる。ここは痛車乗りにとって一番大切な部分で、どんな絵を描くかライバル同士がしのぎを削る「競い合う場」であり、オーナー自身のセンスが問われる点となる。したがって、どの痛車乗りも例外なく、キャラクターの表情、構図、図案には一番こだわり、細かなところまで含め妥協することなく追求する。そうしたオーナーたちのこだわりによって、現在、ラッピングによって飾られるカーグラフィック文化には世界のカスタムシーンも注目しており、その技術は痛車オーナーによる高度な要求によって、日本が最もハイレベルな技術を持っているといえる。
“とともふ”さんのC6コルベットの見た目からも伝わる通り、この痛車というスタイルはアートな作品と言ってもいいのかもしれない。日本が誇るアニメ文化とカスタム文化の融合。このふたつをミックスさせる痛車スタイルは、今後もこの分野で激しく競い合うオーナー達によって、きっとより激しく進化していくことだろう。
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