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BMW「Z3 Mクーペ」が約970万円で落札! 独特のスタイルで新車当時は賛否両論あるも、現在ではカルト的人気が高まりつつあります

5万9800ユーロ(邦貨換算約970万円)で落札されたBMW「Z3 Mクーペ」(C)Courtesy of RM Sotheby's

コレクションには素晴らしい1台だった

2024年5月10日、RMサザビーズがモナコで開催したオークションにBMW「Z3 Mクーペ」が出品されました。出品車の生産台数はわずかに5179台と少なく、走行距離は3万2000kmと魅力的なローマイレージでした。

最近になって人気が高まっているZ3 Mクーペ

BMWが1997年に発表した「Z3 Mクーペ」は、当時E36型の「M3」に搭載されていたS50型直列6気筒エンジンを322psの最高出力で搭載してデビューを飾った。その特徴的なボディデザインには賛否があったが、実際の走りは5速MTとリミテッドデファレンシャルの組み合わせで後輪を駆動する、きわめて趣味性の強いものであったため、その話題性は非常に高かった。

しかし販売台数は、「Z3 Mロードスター」が1万5000台以上の販売を記録したのに対して、Mクーペはわずかに5179台にとどまった。そのスタイリングがあまりにも独特なフィニッシュであったことに理由があった。

だが最近になって、Z3 Mクーペの価値は急上昇の気配を見せているようだ。それはいうまでもなく、前で触れたとおり前期型のS50型エンジン搭載車で5179台、後期型となるS54型直列6気筒エンジンを搭載するモデルではわずかに1112台が生産されたのみという希少性が大きく影響している。

そんな価値を早くから見抜いたオーナーは、じっさいにMクーペをオンロードで走らせることはなく、ガレージの中で大切に保管する者も多かったはずだ。この希少性とまさにカルト的な人気を背景に、現在では最高のMクーペがBMWのファンには望まれているが、入手はますます困難になっているのが現実なのだ。

Mクーペの走りはたしかに驚異的なものだった。2000年に行われたフェイスリフトでは、Mクーペはさらに326psへと強化され、E46型M3用のS54型エンジンを搭載するに至っているのだ。こちらの仕様を手に入れるのは、S50型エンジン仕様を入手するよりはるかに難しい。

最低落札価格なしの条件で出品

その前期型Z3 Mクーペが、RMサザビーズのモナコ・オークションに出品された。1999年式のこのモデルに掲げられたエスティメート(推定落札価格)は7万~11万ユーロ(邦貨換算約1200万円〜1880万円)。人気の希少車とはいえ、ウィズアウト・リザーブ、すなわち最低落札価格なしの条件で出品されているだけに、意外に安価でそれを手に入れる機会も残されている。

ドイツのマインツに新車でデリバリーされたこのモデルは、1999年5月18日に最初の登録が行われ、ほぼすぐに北のヴッパータールへと移動した。そこで3万1000kmを走行したのち、スペインのバリャドリッドに住むオーナーのもとへと渡ったという。現在の走行距離は約3万2000km。ブレーキは交換されたものの、ほかはトラブルもなく、またほとんどドライブされることもなかったようだ。

現在のオーナーのもとに渡ったのは2021年1月のことで、フェラーリのセールスや販売でもお馴染みの、パリのシャルル・ボッツィが、タイヤや燃料ポンプ、ダンパーを交換している。エアコンが装備され、美しいエストリル・ブルーとツートーンカラーのレザーで仕上げられたZ3 Mクーペには、もちろん工具や各種マニュアル、インボイスが付属する。コレクションとしては素晴らしい一品といえる。

そして注目のハンマープライスもまた、多くのビッターを驚かせるものだった。その数字はエスティメートを下回る5万9800ユーロ(邦貨換算約970万円)。落札者はじつにリーズナブルに、新たなコレクションアイテムを手に入れたことになると評しても、間違いではないだろう。だからこそ、オークションの世界は面白いのだ。

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